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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第11章 器用さの問題
「……麗氷の鈴蘭、ミラベル様」
「はい、ローゼル様」
ローゼルとビスカスは、ミラとウォルフに、ゆっくりと深いお辞儀を致しました。
「私とこの者の婚姻をお認め頂けますよう、ご挨拶を申し上げます」
「承りました」
ミラは真珠の環の先で揺れている鈴蘭の飾りに確かめる様に手を当てて、一度ふわりと目を伏せました。そして、一瞬の後に目を開けてローゼルとビスカスを順番に見やって、厳かな口調で告げました。
「……鈴蘭の印を継ぐ者として、従姉妹として……薔薇の印の主ローゼル様と伴侶ビスカス様の婚姻を、喜んで承認し、心から祝福致しますわ」
「ありがとう、ミラ」
「ありがとうございます」
鈴蘭の印を正式に譲られて間もないミラは、大役を果たして、ほっとした様に微笑みました。
「お幸せに、ロゼ姉様、ビスカス。これからも、どうぞ宜しくお願い致します」
*
「……お久しゅう御座います」
ミラへの挨拶が、終わると。
さりげなく距離を詰めたビスカスに影の様に寄り添われたローゼルは、次の相手に頭を下げました。
三番目からは、家族への挨拶です。
ビスカスには、近しい身寄りは有りません。ローゼルの方も承認を必要とする様な親族は、亡くなった母方の麗氷の姉妹の一族だけです。
現在の家族の序列の最初の場所に佇んでいたのは、一組の夫婦でした。
「こちらこそ久しく無沙汰をして申し訳無い、ロゼ、ビスカス。」
ローゼルは背後の気配を気にしながら、にこりと笑顔を作って、やや固い声で言いました。
「お越し頂いて、ありがとう御座います。……お兄様、お義姉様」