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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第2章 仕方のない問題
「会いたくないと言う者に会えと強要しても、お前の気が済むだけだよ?リアン自身が会う気になるまでそっとしておいてやるのが、お前への罰の様な物なんだ」
「お兄様……」
「しかし、悪気は無くともお前の体を傷付けた点では、リアンにも非が有った。これから誰を娶るとしても、お前の指摘した事は、リアンにとって無駄にはならないだろう。今回の破談は、お前の我が儘のせいだけでは無いという事だ」
「お父様」
兄からの苦言と父の理解、その両方が、ローゼルには温かく、ありがたい事で有りました。
それを見たビスカスはローゼルに微笑むと、領主様とタンム卿に言いました。
「お嬢様をお守りする為とは言え、リアン様には失礼な事をしてしまいやした。お目にかからなくとも、名を聞くだけでご不快かもしれやせんが……お差し支えが無い様でしたら、どうぞ宜しくお伝え下さい」
「ああ。出来る範囲で、伝えるよ。では、後程」
タンム卿と領主様が退室して、部屋にはビスカスとローゼルだけが残されました。
「あーあ、台無しですねー」
ビスカスはそう呟きながら、奥方様が上掛けを剥いでしまった寝台を整えました。慣例では家長が無事に契りが行われた事を確認した後片付けられて、晴れて二人の婚礼が認められる事になっています。通常とは違う道を辿った初床ですが、ビスカスはローゼルの為に、少しでも見た目を整えて置いてやりたいと思ったのです。
「ビスカス?」
「へい?」
「さっきは、有り難う……お義母様に、問い詰められた時」
「あー……むしろ、すいやせん。ドレスを投げたなぁ、やり過ぎでした」
「そんな事無いわ。何て言って良いか、分からなかったもの。助かったわ」
「いやー、俺の子種ぁともかく、お嬢様の気持ち良かったお印を他人様に披露しちまったなぁ、ちっと勿体なかったなーって……俺だけの秘密にしときたかったですねー」
「……ばかっ」
「へえ、馬鹿でさあ」
ローゼルは、はにかみながらくすくす笑って、寝台を整えているビスカスの背中に抱き付きました。
「馬鹿ね……私の、旦那様……」
「……じゃあ、お嬢様ぁ、俺の嫁御……っ」
「どうしたの?」
突然動きを止め無言になったビスカスに、ローゼルが声を掛けました。
「もっぺん初床使いたくなっちまいやした……」
「……また、夜にね?」
二人は笑って、口づけだけを交わしました。