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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第11章 器用さの問題

   *

「お兄様」

 家族の二番手は、次兄のタンムでした。

「おめでとう、ロゼ。おめでとう、ビスカス」
「ありがとうございます」
「私は、慶んでさっさと承認するよ?」

 タンムは少しふざけている様にも見える位、陽気に笑いながらあっさりと言いました。

「感謝しますわ、お兄様」
「可愛い妹の幸せの為だ、当然だよ……ビスカス?」
「はい。」
「首尾は、上出来だったかな?」
「……どの首尾の事で御座いましょう」

 上機嫌そうなタンムと対照的に、ビスカスは憮然として答えました。

「そうだなあ……まず、その髪やなんかかな?」
「へ?髪?」
「……髪や、なんか……」

 ……今度は。
 タンムの言葉の意味が飲み込めないビスカスと対照的に、何故かローゼルが憮然としました。

「ああ。なかなか上手い物だろう?」
「え?」
「……お兄様の、差し金……」
「は?」

 ビスカスの理解が追い付く前に、話はどんどん流れていきます。

「……あなた。」
「はい?」
「それに、お兄様。……余計な話は、後になさって。」

 タンムと、それから何故かビスカスにも睨み付ける様な視線を向けたローゼルは、てきぱきと型通りにお辞儀を致しました。

「お兄様。私とビスカスの婚姻のご承認をお願いしたく、ご挨拶を申し上げます」
「随分とつんけんしてるなあ……花嫁だろう、ロゼ。」

(ちょ……っタンムさ……じゃねぇ、御兄様っ!?)

 タンムの軽口にローゼルの気配がすっと険しくなり、ビスカスははらはらしながら、兄妹を交互に見やりました。

「……私が花嫁では、何かご不満ですこと?お兄様」

(っリュリュっ!?……っなんでっ?!)

 何故なのでしょう。
 一番容易く済むと思った人物への挨拶が、何故か目の前で見る見るうちに、険悪に突き進んで行ってしまっております。

 ビスカスは、目の前がくらくらして来ました。
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