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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第11章 器用さの問題
「お祖母様。私とビスカスの結婚のご承認を頂きたく、ご挨拶を申し上げます」
「承りましたよ」
老貴婦人は着席のまま、優雅で威厳に満ち満ちた一礼を致しました。
「……先代領主として、貴女の祖母として、貴女とビスカスの結婚を認めましょう」
「ありがとうございます、お祖母様」
(……これで、あとは、)
大奥様の返事に続くローゼルの御礼の言葉に唱和しながら、ビスカスは気持ちを引き締めました。
結婚の許可を得るための挨拶は、これで、最後の一組を残すのみとなりました。
お辞儀を終えたローゼルは頭を上げる前にビスカスにしか聞こえない位の小さな溜め息を吐き、先程茹だってぐだぐだに撃沈していたビスカスは、頭を上げながらもう一度しゃきっと姿勢を正しました。
「お父様、お義母様」
頭を上げ、向きを変え、そちらに一歩踏み出して、ローゼルとビスカスは、会釈を致しました。
「本日の私達の為の様々なお心遣い、心より感謝致します」
「おめでとう、ローゼル。おめでとう、ビスカス」
「有り難う御座います」
父たる領主様に祝福の言葉を掛けられて、二人はお辞儀を致しました。
「この婚儀によって、ローゼルは正式にこの家の後継者となる。お前達には、単に夫婦となる以外にも責務が増える事になるが、……宜しく頼む」
「心得ております、御義父上様」
領主様に目を合されたビスカスは、言葉でも返答をして、二人はまた頭を下げました。
領主様への婚姻の承認に必要なやり取りは、済みました。あとは挨拶をして、次の異議申し立てに進むのですが、その前にもう一人やり取りを済まさねばならない人が控えています。
「……お義母様」
ローゼルは、領主様の陰で先程から余所見をしている、お辞儀にろくに返礼もしない義母に、呼び掛けました。