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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第11章 器用さの問題

「嫌ねえ、ローゼル!そんな訳、無いじゃないの!!」

 奥方様は、場に不似合いな程楽しげに、ころころと笑いました。

「義理の娘だからなんて下らない理由で、貴女を避けたりしなくてよ?血が繋がって居ようが居なかろうが、れっきとした家族ですものね?きちんとした結婚なら、もちろん私もお祝い事したいし、喜んで関わりたいと思うわよ」
「……きちんとした?」

 滔々と語る奥方様の言葉を聞いたローゼルの眉が、ぴくりと微かに動きましたが、語り手は露ほども気に留めていない様でした。

「ええ。これは、婚礼などでは、有りませんもの」
「お前、何を」

 夫である領主様の言葉を遮って、奥方様は話し続けました。

「皆様、宜しいこと?こんなもの、結婚じゃ無くて、茶番です。前から、そう申し上げているでしょう?そんなものに私の口から申し上げる様な事なんて、何も有りませんわ……汚らわしい」
「お……」
「お前。私の呼び名を変える必要なんて、無くってよ」

 思わず名を呼び掛けて詰まったビスカスに、奥方様は眉を顰めてくすりと笑いました。

「見事な物ねえ、感心するわ。家を継ぐ為に誰でも良いから伴侶が必要になった主の命で婿入りした体を装って、この家を下賤な血で汚そうだなんて」
「……っ!」

 奥方様の口から零れる数々の言葉の余りの酷さに、ローゼルの顔色が青醒めました。
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