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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第11章 器用さの問題
ローゼルの体が、ほんの少し傾ぎました。
(……んな事聞いてる暇ぁねーよ、俺ぁ今ご多忙なんだよ)
ビスカスは目立たぬ様にこっそりと、そこだけ支えておけば倒れないローゼルの腰の辺りの一点に、ふわりと手を添えました。
(リュリュ?気にする事ぁねーですぜ?あんたに害さえ及ばなけりゃあ、何がどーでも良んでさぁ)
ビスカスの手が振れたことで、ローゼルの棘々しさが和らぎました。血の気が引いてしまった頬にも少し血色が戻って来て、仄かに赤味が差しました……が。
「婚姻を認めろ?否やは許さないのでしょう?認めるも何も、無いじゃないの」
奥方様は、フンと鼻で笑いました。
「それに、もうとっくに同じ部屋で寝て、夜な夜な穢らわしい交わりに耽って居るのでしょう?使用人風情が、主家の娘を子供の頃から操って、婚約の邪魔をして初床を荒らして、純潔を奪って自分の言いなりにして、挙げ句の果てに結婚だなんて……部屋に押し掛けて居座っただけでなく、家まで乗っ取ろうと言うの?許す許さないどころでは無いわ、誰が聞いても有り得ない、無礼極まる仕業じゃないの!!」
「止めなさい!」
「ここに集まった皆様は、貴女以外は誰もそんな事を夢にも思って居りませんよ?」
血相を変えた領主様と無表情になったタンムは、それぞれに奥方様の暴言を諫めて、止めました。
「まあ!!本当の事を口に出せない、意気地無しさん達の集まりだわね!?」
「止めないか!さもなくば、ここから」
「ここから?ここから、出て行けと?それとも、摘み出すとでも?」
奥方様は目を爛々と光らせて、声を上げて笑いました。