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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第11章 器用さの問題
「私は、こう言った筈ですよ。
『この館の当主として、この婚姻を認めましょう。けれどあなた方の母親として結婚を認めるかどうかは、あなた方のこれからを見て、ゆっくり結論を出させて頂戴』」
「なっ……!?」
奥方様の顔から、完全に笑みが消えました。
「貴女が母親としてローゼルの結婚を認めないのなら、私も母親としてあなた方の結婚を認めません。これが、あなた方の求めた結婚許可に、私の出した結論です」
「何を、今更!!」
「お前!」
逆上した奥方様は夫が止めるのを振り切って、大奥様に詰め寄りました。
「そんな事っ……今更、そんな」
「失礼」
奥方様が大奥様に、手を伸ばそうとした時。
何かに躓いたかの様に突然ぐらりと体が傾いで脱力しました。
その体が床に崩れない様に抱えたのは、いつの間にかそこに来ていたビスカスでした。
「まあ!ビスカス」
「すみません、御義祖母様。……びっくりなさっちゃ居ませんか?」
ビスカスは大奥様を気遣って出来るだけ穏やかに話そうとしたものの、怒りの為にか幾分地が出てしまっておりました。義理の祖母はそれに気付きはしましたが、孫娘や自分の為に憤りを抑えて居るらしい孫婿に、柔和な笑みを返しました。
「大丈夫ですよ。有り難う」
「いえ……奥方様ぁご気分が優れねぇ様ですから、どこかでお休み頂いた方が宜しいかもしれねぇですねー」
奥方様の「ご気分が優れなくなった」原因を作ったビスカスは、いけしゃあしゃあと嘯きました。