この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第11章 器用さの問題
「……それでは、異議申し立ては以上と言うことで、宜しいですかな……最後に、一言だけ」
領主様は、咳払いをひとつ致しました。
「本人不在の場で言うのは、公正で無いかもしれませんが……ビスカスは、亡くなった妻の遠い縁続きの者です。血筋で人を量る様な事は好ましい事では無いが、その点で反対をする者が居たとしても、貶められる様な者では有りません」
「承知して居りますよ、叔父様」
「私も、同じく……ですわ」
「有り難う、リアン、ミラ。……それに、あれは……ビスカスは、実は大した者なのです。恥ずかしながら、ローゼルは」
「戻りました、大変失れ……いっ?!」
領主様の話が我が娘への愚痴めいてきたところに、ビスカスが帰って参りました。ビスカスは列席者に一斉に視線を向けられて、たじたじとなりました。
「お帰り、ビスカス。ご苦労様」
「へ……ぁいっ、お義兄様っ。」
にっこり笑い掛けてくるタンムにへどもど答えながらも、座り込んでいるローゼルが心配だったビスカスは、そちらにこそこそ移動しました。
ローゼルの顔色が良くなっており、何ともなさそうなのを確認すると、心底ほっとした様に、にかっと笑いかけました。
「父上様。あとの事は、皆さんにご覧頂けば分かるでしょう」
「そうだな……ローゼル、ビスカス」
さり気なく仲睦まじい二人の様子を目の当たりにした領主様は、同様に二人を眺めていたタンムに苦笑混じりに提案されて、また軽く咳払いを致しました。
「それでは、宣誓を。結婚に際してのお互いへの誓いを、皆様の前で披露する様に」