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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第11章 器用さの問題
「はい、お父様」
「あ。お待ちを」
立ち上がろうとしたローゼルを、ビスカスは止めました。
「……このまま進めては、いけませんか?」
ビスカスが尋ねると、領主様もローゼルの顔を気遣わしげに見やりました。様子が持ち直しているとは言え、先程ふらついて立っていられなくなった事を、みんな心配して居たのです。
「ふむ……皆様、宜しいですか?」
「ええ」
「はい」
「勿論」
「問題有りません」
「でも」
「この後、踊りたいのだろう?少し大人しくしていなさい」
列席者に同意されても立ち上がりかけたローゼルを、領主様が父親としてやんわり諫めました。
領主様に頷かれたビスカスは、微笑んでローゼルの足元にひざまずきました。
「ローゼル?これも、正式な宣誓の形ですよ」
「……ええ。皆様、ありがとうございます」
ひざまずいた男性の宣誓を座ったまま受けるのは、身分の高い貴婦人や王族も行う形です。儀式として、不都合は有りません。
「……ありがとう、ビスカス」
「……では…………水晶の薔薇、ローゼル」
ビスカスは懐に手を入れて何やらしていましたが、しばらくすると頭を垂れて深く頭を下げました。
そして、ローゼルを見上げて恭しく手を取って、愛しいその名を呼びました。