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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第11章 器用さの問題
「……ビスカス?」
ローゼルは手のひらでビスカスの頬に触れ、微笑みながら親指の先で目尻の涙を拭いました。
「……へぇ……」
目を閉じて柔らかな手のひらと指が触れるがままにされたことを受け取っていたビスカスは、うっとりと答えました。
「私を、立たせてくれる?」
ビスカスは目を開けて、自分を見詰めているローゼルの目を見ました。美しくきらきらしたその瞳は、生きている宝石であるローゼルの象徴の様に輝いておりました。
「……はい、ローゼル」
ビスカスは立ち上がり、ローゼルの手を取りました。手を引いてローゼルを立たせると、腰の辺りをそっと支えました。
「ありがとう」
「いえ」
……何故でしょう。
ただ二人で寄り添って立っているだけなのに、激しいいちゃいちゃ感が広間の中に漂い始めました。
「……ローゼル」
領主様がその濃密な空気を遮る様に、娘の名をよびました。
「はい、お父様」
「私共から花婿への、花嫁の引き渡しを行いたいのだが」
既に花嫁は、花婿とぴったりとくっ付いて立っております。それなのに、一度離して引き渡すというのもおかしな話に聞こえますが、儀式ですから仕方有りません。
「ロゼ。私達三人と、踊ってくれるかい?」
「はい」
長兄に手を差し出されたローゼルは、ビスカスに微笑みを残すと、そちらに歩み寄りました。