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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第11章 器用さの問題
「大丈夫か?ロゼ」
「ええ、大丈夫よ。ありがとう、お兄様」
タンムはローゼルと組んで踊った事が何度も有り、踊り自体も上手です。
小声で話をしながらも、これから嫁ぐ妹を優雅に踊らせておりました。
「さっきは嫌な思いをさせて、済まなかった」
「別に、お兄様のせいでは無いわ」
「……だと良いんだが……」
軽々と踊るタンムを見ていたローゼルは、ふと先日のリアンとの婚約式の事を思い出しました。
「この前ビスカスと踊った時、本当はこんな風に、お兄様と踊る予定だったのよね」
「ああ。ビスカスに、譲ったんだったな」
「……お兄様?」
「なんだい、ロゼ」
「あの時は、お怪我をしたのでは無かったの……?」
「そうだったかな?……まあ、結果良ければ全て良しだろう?」
「……お兄様ったら……」
ローゼルはタンムのいい加減な相槌に、苦笑しました。
「そうだわ。お聞きしたい事が、有るのだけど……」
「うん?」
「でも、もう時間ね」
踊りは二人の名手によって流れる様に進み、次のお相手に花嫁を渡す頃合いが近付いておりました。
「もう次か。残念だな。だが、お前はこれからも私の大事な妹だし、離れてしまう訳でも無いから……話は、また明日にでも」
「そうね……明日は予定が有るから、近々お話しに伺うわ」
「ああ、いつでもおいで。……おめでとう。幸せに、ロゼ。言わずもがなだがね」
「ありがとう、お兄様」
そしてローゼルはタンムの手から離れ、送り出す最後の家族の元へと歩みを進めました。