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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第11章 器用さの問題
「それなのに、あなたが居なくなったりしたら、長生きしたって淋しいだけじゃない。それに、私に仕えるなんて言ってたら……またお義母様に、下僕みたいって言われてしまってよ?」
「意地悪ですねえ、『お嬢様』ぁ」
ビスカスは、あの日スープを掬って口まで運んでくれて、今は自分の贈った指輪が飾られている指を手に取って、口づけました。
「俺が使用人で護衛で、リュリュが領主様んちのお嬢様だから、『仕えます』っつったんじゃあねーですよ?」
「え?」
ビスカスは今度は指ではなく、手の甲に口づけました。
「たとえ俺が王様で、あんたがものすんげぇ田舎の娘かなんかでも、俺ぁ一生、あんたの僕です」
「王様と田舎娘なんて、嫌よ」
「んー?奥様ぁ田舎娘なんざぁ、お気に召さねーですかねー?」
「違うわよっ、失礼ね!」
口づけられていた手を取り返したローゼルは、ビスカスの頬っぺたを軽く摘みました。
「すいやふぇん……」
「田舎娘だって、構わないわ……でも、」
ローゼルはビスカスの頬っぺたを離し、夫の肩の上に、頭をこてんと乗せました。
「いくら何でもそんなに立場が違ったら、巡り会えっこ無いじゃない」
「会えやすよ」
ビスカスはまたローゼルの手を取ると、今度は手の甲ではなく手のひらに口づけました。
「たとえどんな俺だって、絶対リュリュに会いやすよ」
「……絶対?」
「へい。絶対でさあ」
ビスカスは悪戯っぽく微笑むローゼルの額に額をくっ付けて、唇同士が触れそうな近さで、にかっと笑って囁きました。
「……俺ぁ、いつどこでどんな風に会ったとしても、絶対一目で、あんたを大好きになりやすよ」