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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第11章 器用さの問題
*
「素敵ねえ、ロゼ……!!本当に、女神様みたい……!!」
新婦の神々しいまでの美しさや、誓いの言葉と口づけを交わす新郎新婦の睦まじさに、広間のあちらこちらで、密やかな賞賛が起こりました。
その中に、目を潤ませてうっとりと溜め息をついた、一人の淑女が居りました。
「ああ、ビスカスもよく化けたな」
「……もうっ。感激しないの?」
その淑女……果樹園の主のサクナの婚約者である都のスグリ姫は、傍らで平然と嘯く伴侶を、上目遣いで軽く睨みました。
「俺は、着飾ってるあいつ等は見慣れてるしな。……それに、俺にゃあローゼルよりお前の方が、よっぽど女神様に見えてるぞ」
「っ!」
不意ににやっと笑われて、スグリは真っ赤になりました。
「……お。ほら、結婚披露の踊りが始まるぞ」
「まあっ!!」
手に手を取って中央に進み出たビスカスとローゼルを見て、スグリはわくわくして両手を胸の前で握り合わせました。
「……この地の踊りは、元々は、踊って二人の相性を見る為の物なのです。息が合わない様だと、結婚は考え直せと言われるのですが……」
タンムがビスカスの友人だと言う大柄な男性に説明をしている声が、スグリの耳に届きました。
大柄な男性は、若い小柄な可愛らしい女の子を連れていました。女の子は時々背伸びをしては、こしょこしょと男性に何やら耳打ちしておりました。男女の組み合わせでは有りますが、二人の間には恋人同士や兄妹と言うよりも、妖精と精霊界の王様の様な、不思議な雰囲気が漂っておりました。
「……この二人の場合、そういう意味では、踊るだけ時間の無駄ですね。単なる惚気か自慢です」
(本当に、そうだわねっ……ロゼとビスカスさんの相性が良いかどうかなんて、今更確かめる必要なんて無いもの)
引き続き小耳に挟んだタンムの言葉に、スグリは深く頷きました。