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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第11章 器用さの問題
二人は列席者に向かって、軽くお辞儀を致しました。そして、繋いでいた手を、一度離しました。
「わ……!」
手は離れましたが、そのまま手首から腕、背中と触れ合わせたまま背中合わせに回転し、あっという間にまた手を繋ぎ合わせておりました。
その間にも足は複雑なステップを踏み、音楽と拍手のリズムとおいかけっこをする様に、二人は身体を触れ合わせながら、くるくると踊って居ます。
「すごい……」
触れ合っては居ますが、ぶつかったり足を踏んだりもつれたりといった様子は、露ほども有りません。
遊んでいる様に無邪気に楽しげに踊るローゼルと、踊らせているビスカスに、スグリを初めとする列席者一同は、ほうっと感嘆の溜め息を吐きました。
「素敵……ロゼ、楽しそう!……とっても可愛い踊りだわね……!」
「今のところな」
「え?」
「まだ一周目だからな。見てろ」
「うん……?」
サクナに言われたスグリは、腑に落ちないなりに踊りをじっと見詰めていました。
しばらくするとサクナ曰くの「一周目」が終わったらしく、同じ主旋律を繰り返している音楽の速さが少し緩やかになり、軽やかなキラキラした編曲が、大人っぽく艶っぽい物に変わりました。
「あ」
音楽の変化にあわせて、二人の踊りも変わっておりました。
跳ねる様なステップはなりを潜め、脚や腕でゆったりとうねらせて曲線を描き、爪先から着地する様な優雅で色っぽい仕草が増えました。
体の触れる場所も、手や腕や背中が多かったのが、胸や腰や首筋など、見ていて顔が赤らむ様な、微妙な所に触れています。
(……ロゼっ………これは、ちょっと……変わり過ぎじゃなくてっ……?!)
「二周目」に入って急に、踊りから色香が匂い立ち、広間を満たし始めた様でした。