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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第11章 器用さの問題
「そうね……そうだわねっ……!」
スグリははっとして、頷きました。
(そうよね……中休みの間は広間から出て居て貰う為に、あんな立派なお部屋を用意して下さってるんだものね……!)
そう納得したスグリは、知りませんでした。自分達の控え室が、他の招待客達よりも、殊更立派だと言うことを。
今日は、招待客全てに専用の控え室が用意されていた訳ではなく、控え室全てに寝台が有る訳ではなく、長椅子すら有る部屋と無い部屋が有りました。
「色々、ご手配ありがとうごぜぇやす。御礼って訳じゃねーんですけど、当日のお部屋にゃあ、いろいろ揃えときますねー?」
先日、仕事として結婚式に納める物の打ち合わせをしてローゼルが退席した後、サクナは残ったビスカスに、そう言われたのです。
「そりゃ、ありがとな。スグリが喜ぶ」
「どういたしまして。……でも、宴席にゃあ遅刻ぁしねーで下せーねー?」
そう言ったビスカスの笑顔は、サクナの行動などお見通しという様でした。
「分かった。遅刻じゃなくて、欠席なら良いんだな」
「駄目です。ローゼルに怒られます」
「そんなら何もない部屋にしときゃ良いだろ」
サクナは「そんなら」と「何もない」の間に「寝台」とか「長椅子」という単語を略しました。
「駄目です。あんた、有っても無くてもヤる時ゃヤんですよね?スグリ様が可哀相過ぎます」
「……分かった」
「あんた」の後に「寝台」とか「長椅子」という単語を略したビスカスに、サクナはやや憮然とした顔で言いました。
「……欠席はしねえ。遅刻は……スグリ次第だな」
「中休みの間ずっと、広間に居て下すっても良んですよ?椅子をふたっつ、すんげー離れた角と角に、置いときますんで」
珍しく殺気を滲ませて微笑んだビスカスに気圧されて、サクナは真剣に誓いました。
「分かった。遅刻もしねえ。……ように、全力で善処する」
「ご理解とご協力を、ありがとーこぜーやす」
嫁大事な男二人の結婚式の中休みの打ち合わせは、嫁たちの知らぬ間に、こうしてこっそり手打ちとなったのでありました。