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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第11章 器用さの問題

「お二人のおめでたい日だもの。ご迷惑になったら、いけないわよね……!」
「ああ。あいつらの一世一代の晴れの日だからな」

 出口を見ると、ちょうど挨拶が途切れそうなところでした。

「行きましょ、サクナ」
「行くぞ、スグリ」

 二人は手に手を取って顔を見合わせ頷き合うと、新郎新婦の元に歩み寄りました。

「ロゼ!ビスカスさん」
「スグリお姉様!」
「スグリさまー」

 気を使う相手への挨拶が、続いていたのでしょうか。新郎新婦は、ほっとした様に肩の力を抜いて、心から嬉しげに笑いました。

「ご結婚、おめでとうございます。本日は、お招き頂いてありがとう」
「お祝いの言葉を、ありがとうございます。こちらこそ、来て下さってありがとう……本当に、嬉しいですわ」
「ほんっと、うれしーですねー?ありがとーごぜーやすー」
「お前はローゼルのこだまか」

 スグリが二人と挨拶を交わすのを横で眺めていたサクナが、ビスカスを揶揄いました。

「へえ、こだまでさあ。結婚式の花婿なんざ、花嫁の陰に隠れてりゃ隠れてる程、上手く行くってもんでさぁねー」
「……そういうもんか?」
「へい!結婚式の主役ぁ、花嫁様ですからねー?サクナ様にも、もうじき、よーく分かりやすよ」
「……だな」

 現花婿と未来の花婿は、はしゃいでいる彼等の花嫁達に柔らかい視線を向けました。

「ロゼ、本当に綺麗よ!……もちろんいつだって綺麗だけど、今日は、本当に本当に本っ当に、綺麗だわ……!」
「ありがとう、お姉様」
「スグリ様ー?」

 はにかむ嫁の神々しさに、思わず身震いしたビスカスは、いそいそとスグリに話し掛けました。

「なあに、ビスカスさん」
「どーです、俺のローゼルぁ……女神様みてーに、綺麗でしょー?」
「ええ!女神様に聞こえちゃったら悪いけど、女神様よりも、ずっと綺麗だと思うわ!」
「ありがとーごぜーやす……お陰様で、大分釣り合わなさが増えちまってやすけど……」

 ビスカスはローゼルの方に目をやってへにゃっと笑うと、照れ隠しに頭を掻きました。

「ま、俺なんざどうでも……ローゼルが誰よりもきらきらしてて、今までで一番綺麗で居てくれりゃあ、それで御の字なんでさあー」
「まあ!ビスカスさんったら!」
「へえ?」
「そんな事、全っ然、無くってよ!」

 照れるビスカスに、スグリは真顔で反論しました。
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