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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第11章 器用さの問題
「もちろん、ビスカスさんも、とってもとってもとっても素敵に決まってるじゃないの!ものすごーく、お似合いの二人だわ!!」
「……そーですか?」
「そうよ!水晶の薔薇と、薔薇の騎士様みたいだわ!」
「えへへー、さいですかー」
ビスカスはへにゃ~っと笑いましたが、そのぐだぐだは水晶の薔薇の騎士様には相応しく無いことに気付いたらしく、慌ててぴしりと直りました。
二人のやり取りを見ていたローゼルは、おかしそうに、けれどとても幸せそうに、クスクスと笑いました。
「あら?……ロゼ!?」
「はい?」
「……薔薇?……薔薇ね……!」
スグリは、口許を覆っていたローゼルの手に飾られた、薔薇の指輪に気が付いたのです。
「ええ、お姉様……薔薇ですのよ……」
スグリは、はにかみながら差し出されたローゼルの手を取りました。
「よく見せて頂いても、宜しくて?……すごいわ!……これ、本物かしら?」
「本物な訳ゃあ無ぇだろ、んな小せぇ薔薇」
「サクナったら!」
スグリは夢の無い事を言うサクナを、軽く睨め付けました。
「だって、ほら!……本当に、本物みたいなんですもの!」
「ああ、そう見えるな。……けど、そいつは水晶の裏側から彫って有んだよ。なあ、ローゼル」
サクナの言葉に、ローゼルは目を丸くしました。
「ええ、当たりですわ!!どうしてお分かりになったんですの、サクナ様?」
「昔、親父に連れられて領主様と奥様に……お前のお母上様にご挨拶した時に、見たんだよ」
その時、自分が今のスグリと同じように本物かと思い、先代園主が笑いながら今自分が言ったのと同じように教えてくれた事を、サクナは懐かしく思い出しました。
「そん時に見たなぁ、そっちの首飾りだが……その指輪は、首飾りと揃いだろ?」
「……残念ながら、それは外れですわよ」
「あ?」
ローゼルは悪戯っぼく笑うと、夫の腕を取って抱き締めました。
「首飾りは、母から譲られた物ですけれど……この指輪は、ビスカスからの贈り物なんですの。」
「……まあっ!……なんって、素敵っ……!!」
スグリの目が、夢見る様にきらきらと輝きました。