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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第11章 器用さの問題
「水晶の薔薇様に贈られた、水晶の薔薇だなんて……!!素晴らしく美しい贈り物だわね……!」
「ええ。そうなの……っ」
その時、スグリに微笑んだローゼルが、急にふらつきました。
「リュリュっ?!」
「ロゼ!」
「ローゼル!」
幸いローゼルはビスカスの腕に腕を絡めていたので倒れること無く抱き止められ、幸い三人が三様にローゼルの名前を呼んだので、二人だけの愛称は誰の気にも留められませんでした。
「大丈夫ですか?ほら、座って」
「大丈夫よ、ありがとう。……ちょっと、くらっとしただけ」
ビスカスはローゼルを手近の椅子に座らせると足元にひざまずき心配そうに手を取って、優しくさすりました。
「ごめんなさい、ロゼ。はしゃぎすぎて、疲れさせちゃったわね」
「いいえ、そんなこと無くってよ、お姉様。心配させてごめんなさい。朝からずっと気を張ってたせいかもしれないわね」
ビスカスは冷たかった手が少し温かくなり顔色が良くなって来たのを見て、ほっと息を吐きました。
「ローゼル。宴席で踊るなぁ、止めときやしょう」
「え。でも」
「儀式は、みんな済んだんです。お願いですから、もう今日は大人しくなさってて下せえ。宴席では絶対に、飾りもんみてぇにきちんと座って、にこにこなさってて頂きやす。」
「だけど……」
「ロゼ。ビスカスさんの仰る通りよ。宴席で踊ったりしたら、もうお姉様って呼ばれてあげないことよ」
珍しくきっぱりと、怒った様に言い切るビスカスとスグリに、ローゼルは苦笑しました。
「分かったわ、旦那様、お姉様。もう、今日は大人しくしています。」
「大変結構です、奥様」
「良かったわ、ロゼ」
「スグリ」
サクナが、スグリに目顔で退出を促しました。ローゼルを心配するのなら、二人が休める様にしてやるのが一番役に立つでしょう。
「……ロゼ、またあとでね。ゆっくり休んでね、無理しちゃだめよ」
「ありがとう、お姉様」
「花嫁の大仕事は、十分果たしたろ。少しのんびりしろ。ビスカス、お前も少しは休めよ」
「へえ。ありがとうごぜぇやす」
「お大事にね」
「じゃあな」
サクナと、肩を抱かれたスグリは、二人に目礼すると広間を出て行きました。