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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第11章 器用さの問題

「私達、仮婚礼から今日まで、あなたが居なかった間以外は、ほとんど毎日仲良くしてるわよね?」
「は?」

 あまりにも当然の事を言われて、ビスカスは面食らいました。

「あなた、そのことに、気付いて居て?」
「……へ?」

 気付いているも居ないも、有りません。
 時々たわいもない痴話喧嘩も交えながら、毎日毎日飽きもせず、大変仲良くしています。

(……リュリュにしちゃあ、奥歯に物が挟まったみてーな物言いだぁねー?……まさか、よっぽど具合が悪い……とかじゃあねーだろーね?)

「それが、何か?」

 ビスカスは、少々の不安を声に滲ませない様に、平静を装って応えました。

「あのね……ただ、仲良くしてるってだけじゃなく……毎日、くちゅくちゅしてるって事よ?」

 くちゅくちゅと言うのは、交わりを持つという意味の、二人の間だけで通じる隠語の様な物でした。
 それもまた言わずもがなの事だったので、ビスカスは益々訳が分からなくなりました。

(もしかして、ヤリ過ぎのお叱りってか?けど、俺だけが誘ってる訳じゃねーですよねー?どっちかってーと、リュリュのが……)

 日々のくちゅくちゅに関しては、ビスカスが誘うよりむしろ、ローゼルから言葉や態度や行動で甘えて強請って来る事の方が、少なく無いのです。


「……毎日くちゅくちゅしてる、っていう事は、月のものが、ずっと来てないって事なのよ?」

「……へっ?」

 腑に落ちない顔をしているビスカスに、頬を染めたローゼルは、目を合わさずに呟きました。

「今まで全然来てない訳じゃないわ。柊屋敷で倒れた時……倒れたのは、月のものの不調のせいも有ったのよ。でも、その後は……」

「っ!!」

 ビスカスは段々声が小さくなって、遂には口籠もってしまったローゼルの肩を、思わず掴みそうになりました。寸前ではっとして気付いて手を止めて、一旦ぎゅっと手を握りました。
 そして、ふーっと息を付くと拳を開いて、どこかしら心細げなローゼルの肩を、ふわっと柔らかく包みました。
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