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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第11章 器用さの問題
「少し前から、もしかしてって思ってたのだけど……先に言ったら絶対に、式の踊りは止めるって言われると思ったから、今まで内緒にしてたのよ?踊っちゃ駄目って言われたら、困るもの」
「ばっ……踊りなんざ、どーでも良いでしょうがっ!」
「踊り、なんざ?踊りはなんざなんかじゃないし、どうでも良くもなくってよ!」
二人は、真剣に言い争いました。
とはいえ、端から見たら毎度お馴染み、犬も食わない痴話喧嘩です。
「だって、子供の頃からずーっと長いこと夢だったんですもの……結婚式で、誰よりもたくさん、くるくる回るの……」
ローゼルはビスカスの頬を、両手で包みました。
「夫婦になったのだから、これからも踊る事は出来るけど……結婚の踊りは、一生に一度なんですもの」
「初めての子だって、一生に一度ですよっ!!」
頬を包んだローゼルの手を両手で包んで、ビスカスはおでこにおでこをいつもより強く、こつんと当ててみせました。
「ほんっとーに、肝が冷えたんですからね?!心臓に、悪すぎやす!……もう二度と、無茶はしねーで下せえっ!!」
「ん……分かったわ……」
ローゼルは神妙な顔になって、ビスカスの手に頬擦りしました。
「でも、もし……」
「もし?……もし、何ですかい?」
ビスカスはローゼルの手を取ると、指に口づけ致しました。