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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第4章 痛みの問題
ビスカスにとっては、その傷も、ローゼルの為の傷でした。
スグリ姫を庇って負った傷では有りましたが、最初からスグリ姫が襲われる予定だった訳では無いのです。まだ調査中ではっきりとは言えないものの、傷付けられる予定だったのは、恐らく本来はローゼルでした。
その事は、ビスカス自身と、ビスカスが告げた二人、事後処理のために事情を知る必要が有った一人の、四人だけしか知りません。四人はローゼルまたはスグリ姫のどちらかの庇護者であったので、スグリ姫とローゼルの二人に詳細を話すかどうかは、四人の裁量に委ねられました。その結果、今の所は二人とも、事情をはっきりとは知らせられてはおりません。
先々どうするかはまだ決まって居ませんが、ビスカスはローゼルには一生知らせなくても良いと思っておりました。身内が友人と護衛を傷付けた事件は実は自分を傷付けようとした為に起こったのだと知ったなら、ローゼルは心を痛めるでしょう。
済んだ事をほじくり返してローゼルを苦しませる事は、ビスカスは勿論、こちら側の関係者は誰も望んで居ない筈でした。
自分が関わった傷とは知らぬまま、ローゼルは新しいその傷も、そっと指で撫でました。
「良かったわ。肌は新しい色だけど、もうちゃんと治ってるのね。サクナ様のお屋敷の秘薬が、効いたのかしら」
「……ぅ!」
サクナの家の秘薬という言葉を聞いて、ビスカスは貰った酒を思い出しました。それについてあまり考えると困った事になりそうなので、酒から気を逸らすため、ローゼルの呟きに乗りました。
「……サクナ様んとこに、秘薬なんて有んですかい?」
「秘薬かどうかは分からないけど、お前、クロウに薬は飲ませて貰ってたわよ。気絶しかけた時、唇に何か注がれてたもの」
「あ!?」
思いも寄らぬ事を聞き、ビスカスは驚きました。
「え、あの、ぽたぽたって奴ですか!?……ありゃあ、お嬢様の涙じゃあなかったんですかい?!」
「……涙も、有ったけど……クロウが来て、少し場所を変わって欲しいって言われて、小さい瓶からお前の口に何か垂らしてたわ」
「はー……そんなもんまで、作ってんですねー……」
怪我の治療に使えるという謎の秘薬、痛がる処女との色事にうってつけの怪しい酒、ごくごく普通の果物に加工した果物に初床の花片……。
ビスカスは、サクナの屋敷の取り扱い品の奥の深さに慄きました。
スグリ姫を庇って負った傷では有りましたが、最初からスグリ姫が襲われる予定だった訳では無いのです。まだ調査中ではっきりとは言えないものの、傷付けられる予定だったのは、恐らく本来はローゼルでした。
その事は、ビスカス自身と、ビスカスが告げた二人、事後処理のために事情を知る必要が有った一人の、四人だけしか知りません。四人はローゼルまたはスグリ姫のどちらかの庇護者であったので、スグリ姫とローゼルの二人に詳細を話すかどうかは、四人の裁量に委ねられました。その結果、今の所は二人とも、事情をはっきりとは知らせられてはおりません。
先々どうするかはまだ決まって居ませんが、ビスカスはローゼルには一生知らせなくても良いと思っておりました。身内が友人と護衛を傷付けた事件は実は自分を傷付けようとした為に起こったのだと知ったなら、ローゼルは心を痛めるでしょう。
済んだ事をほじくり返してローゼルを苦しませる事は、ビスカスは勿論、こちら側の関係者は誰も望んで居ない筈でした。
自分が関わった傷とは知らぬまま、ローゼルは新しいその傷も、そっと指で撫でました。
「良かったわ。肌は新しい色だけど、もうちゃんと治ってるのね。サクナ様のお屋敷の秘薬が、効いたのかしら」
「……ぅ!」
サクナの家の秘薬という言葉を聞いて、ビスカスは貰った酒を思い出しました。それについてあまり考えると困った事になりそうなので、酒から気を逸らすため、ローゼルの呟きに乗りました。
「……サクナ様んとこに、秘薬なんて有んですかい?」
「秘薬かどうかは分からないけど、お前、クロウに薬は飲ませて貰ってたわよ。気絶しかけた時、唇に何か注がれてたもの」
「あ!?」
思いも寄らぬ事を聞き、ビスカスは驚きました。
「え、あの、ぽたぽたって奴ですか!?……ありゃあ、お嬢様の涙じゃあなかったんですかい?!」
「……涙も、有ったけど……クロウが来て、少し場所を変わって欲しいって言われて、小さい瓶からお前の口に何か垂らしてたわ」
「はー……そんなもんまで、作ってんですねー……」
怪我の治療に使えるという謎の秘薬、痛がる処女との色事にうってつけの怪しい酒、ごくごく普通の果物に加工した果物に初床の花片……。
ビスカスは、サクナの屋敷の取り扱い品の奥の深さに慄きました。