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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第6章 仲直りの問題

     *    *    *

 ビスカスがタンムと話してから、数日が経ちました。

 その日は前日に雨が降ったので、庭も含めた館の周りの片付けをしておりました。現在の仕事はローゼルの護衛なのですが、ローゼルが部屋から出ない以上、本業は開店休業です。突発的に起こった用事や、その日の仕事が多い誰かを見つけては、手伝う事をしておりました。
 雨で地面が弛んだりしていないか、補修の必要な建物や場所は無いかの見回りを終えて庭に足を踏み入れたビスカスは、何かが目の端に引っ掛かった瞬間、息を呑みました。
 それからなるべく静かにゆっくり深呼吸をして、急がずのんびりと聞こえる様な足取りで、目指す方へと近付きました。

「お嬢様」

 出来るだけ声を丸く柔らかくして弧を描く様に緩やかに投げると、下ろしたままの濃く艶やかな巻き毛が、白い部屋着の上でぴくりと揺れました。

「おはよーごぜーやす」
「……おはよう」

 ビスカスはローゼルが久し振りに庭に出て来たのが嬉しくてたまらなかったのですが、それを見せない様に堪えました。

「雨がやっと上がりゃあがって、良い朝になりやしたねー」
「下品な口利いてる暇にどっか行って」

 そう冷たく返されたビスカスは、ローゼルが自分に強気に出られる気力をまだ持って居ることを密かに喜びました。

「へーへー、畏まりやしたー。お邪魔致し」
「きゃっ!」
「っ危ねっ」

(……こんなに、軽くなられちまってんのか……)

 雨の泥濘でバランスを崩したローゼルを支えたビスカスは、閉じ籠もっていた間に前より随分と痩せてしまった事に気付いて、ぞっとしました。ビスカスは胸が塞がれる様な気持ちを抑えて、ローゼルを抱き上げました。

「ちょっと!!離してよ!」
「へいへい、危なくねーとこに行ったらお離ししやすねー」
「嫌よ。」

 ローゼルは大人しく運ばれながらも、ビスカスからぷいっと顔を背けました。

「お前、おじさん臭いんだもの」
「おじっ……」

 ビスカスはローゼルの一言に、衝撃を受けました。が、なんとかぎりぎりで踏みとどまってベンチまで辿り着き、ローゼルを丁寧に下ろして座らせました。

「着きやしたよ。こっからでも薔薇ぁご覧になれやすでしょ」
「余計なお世話よ。薔薇を見に来た訳じゃ無いもの」
「さいですかー」

 ビスカスはローゼルに、軽く答えました。
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