この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第6章 仲直りの問題
 しかし、ローゼルはこの二、三年は、収穫の祭りの場で飴を食べては居りません。得意な踊りの催しにだけ出て、あとはお加減の余り良くない奥様の元に、すぐに帰って居たからです。飴を求めては居ましたが、それはその場で食べる為ではなく、奥様に見せる為でした。
 自分より四つ五つ下の、奥様がまだお元気だった頃の自分と同じ位の少年から姫リンゴを思わせるさくらんぼを求めたローゼルの心持ちを思うと、ビスカスの胸は微かに痛みました。

「……女神様はさくらんぼを買って下さって、にっこりして、仰ったんだ」

 少年の言葉で、ビスカスは物思いから現実に引き戻されました。

「『沢山は食べられないから一つだけ頂くわ。あとはあなたが食べてくれる?』って、一つだけ、持って行かれて……!!」

 それを聞いたビスカスは、ほっとしました。
 ひとつにはローゼルがお腹を壊さずに済みそうだと分かったからです。そのさくらんぼがここに来るまでに万一雑で庶民的な扱いをされていたとしても、一粒ならば高貴なローゼルとは言えお腹を壊すほどの大事には至らないでしょう。
 二つ目は、ローゼルがそのままさくらんぼを食べずに持っていったと聞いたからです。一粒とはいえローゼルの食べたさくらんぼの種と軸とがここに残されて居れば、ごみ籠をひっくり返してでも回収しなくてはいけません。軸は大目に見たとしても、種は、ローゼルの口に一旦入ったのです。そのような物が少年とはいえ他所の男の元に残されていたら、ビスカスは今夜からうなされていた事でしょう。

(あのさくらんぼみてーな唇で、さくらんぼを食う……どこのどいつだろうが、そんなお嬢様を見た奴ぁ許さねーよ!!)

「ほんとに、夢みたいに綺麗だし、優しいし、良い匂いだし……思わず、拝んじゃったよ!」

 ビスカスが変態すれすれの事で憤っている間も、ローゼルがさくらんぼを食べなかった事で命拾いした少年の賛辞は延々と続いておりました。
 その賛辞の一部が、ビスカスの何かに引っ掛かりました。

「小僧。拝みたくなる気持ちぁよーく分かるし止められねーし仕方ねーから構わねーが、匂いは嗅ぐな。絶対ぇ嗅ぐな。金輪際二度と嗅ぐな。鼻ぁ塞げ。」

 目と耳だけならばまだしも、鼻でローゼルの美しさを感じた等とは、言語道断です。こんな街角の少年にまでローゼルの崇拝者が増えてしまった事に、ビスカスは舌打ちしました。
/270ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ