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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第6章 仲直りの問題
そんな深窓の令嬢であるローゼルを嫁にと言っておきながら、その男は裕福では有るものの決して若くは有りませんでしたし、初婚ですら有りませんでした。
以前の妻も、幼妻と言って良いほどに年が離れていた様です。理由ははっきり分かりませんが、男が是非にと請うて嫁いだのにも関わらず、数年経って男の方からの申し出で離縁されたと言う事でした。
男の身の上についての話は、ローゼルとの結婚話を持ち出されるなり断った領主様が、直後にビスカスに教えてくれた事でした。ビスカスはローゼルの護衛を前任者から引き継いで以来、まだ正式ではないものの何件も持ち込まれた縁談や結婚申し込みの打診の話を、全て聞かされて居りました。
「面倒だろうが、憶えて置いてくれ。誰がいつ強引な事をしようとするか、分からないからな。気をつけるに越したことは無い」
一人目の妻を弄んで捨てた様にも思える中年の男が身の程知らずにもローゼルを望んだ話を聞いたビスカスは、反吐が出そうになりました。目の前で話が交わされていたら殴りかかって居たでしょうし、領主様がきっぱり断ったと聞かされなければ、家に怒鳴り込んで居たかもしれません。
「話を持って来るにしても、せめて十六になって正式に披露目をしてからと言っているのに……今からこんな事では、先が思いやられる」
「お誕生日が過ぎたら早々に良いお相手が見付かって、落ち着かれたら宜しいですねー」
疲れた様子の領主様とそんな会話をしたのは、つい数週間前の事です。
(確か、あいつぁ別宅がこの近くだったな……)
その男は郊外に屋敷を構えて居りましたが、仕事の便宜上この近所にも小さな住まいを持って居りました。そこから館に出向いた来たのだと、領主様が教えて下さったのです。
「坊主、ありがとよ。またな」
「こっちこそありがとうだよ!お兄さん?」
「何だ?」
「お兄さんは、女神様の家族か何か?兄弟?」
少年に聞かれて、ビスカスはにかっと笑いました。
「俺ぁ、女神様の御付きだよ。女神様を危ねー事からお守りするって事だけの為に、ご一緒させて頂いてる様なもんだな」