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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第6章 仲直りの問題
「……あの……タンム様?」
「なんだい?食事なら後でここに運ばせるよ」
「いえ」
怪我の話の間は平然としていた物言いが、急に奥歯に物が挟まった様になったのを、タンムは訝しみました。
「あのですね……お嬢様ぁ、ご無事でしたか……?」
「え?」
それは、意外な質問でした。もしかしてビスカスは、まだ正気に戻っていないのでしょうか。
「無事か、って……お前が、ちゃんと連れて帰ってくれただろう?憶えてないのか?」
「いえ、それは忘れたりゃしてねぇですけども、その……」
ビスカスは口籠もりましたが、言わねば分かって貰えないでしょう。視線を外して俯くと、思い切って質問を口にしました。
「……お嬢様の、お洋服が、破れなすってて……もしかして、酷ぇ事でもされたんじゃねぇかと」
「ああ……それを心配してくれたのか」
タンムは決まり悪げにしているビスカスに微笑みました。
「ロゼの上衣のボタンが取れたりしてた件だね。あれは苦しくて自分でやったと言っていたよ。あいつが隣に座った時から息が苦しくなり始めて、手を伸ばして顔に触られそうになった時にはもう座ってられない位になってたそうだ。後は、ロゼの変調に驚いて、あたふたしてただけだったらしい」
「……良かった……!!」
ガチガチに固くなって話を聞いていたビスカスの肩から、ほっと力が抜けました。
「俺がご一緒してたってのにお嬢様に何か有ったら、こちらを辞めさせて頂いたとしても、御詫びになんかなりゃしねーとこでした……!!」
「はぁ?!」
安堵したビスカスと逆に、タンムが顔色を変えました。
「何馬鹿な事を言ってるんだ、お前は!」
「……へ?」
「辞めるなんて、何が有ろうが私達が許す訳無いだろう!?」
「……へい?」
ぽかんとしたビスカスをほとんど怒鳴りつける勢いで、タンムは畳み掛けました。
「いいか?ロゼにもし万一何か有ったとしてもーーいや、何か有ったらむしろ、それを一番何とか出来そうな人間は、今家に居る中では、誰がどう見ても、お前だ。いや、お前しか居ない。断言しても良い」
「……や、そりゃあ」
「否も糞も無い。絶対辞めるな。お前以外にあいつの面倒を見られる者が見つかる迄はーー少なくともロゼが結婚する迄は、辞める事は許さない。これは家族の総意だ」
ロゼ以外の家族のな、とは、口に出さずに付け加えられました。
「なんだい?食事なら後でここに運ばせるよ」
「いえ」
怪我の話の間は平然としていた物言いが、急に奥歯に物が挟まった様になったのを、タンムは訝しみました。
「あのですね……お嬢様ぁ、ご無事でしたか……?」
「え?」
それは、意外な質問でした。もしかしてビスカスは、まだ正気に戻っていないのでしょうか。
「無事か、って……お前が、ちゃんと連れて帰ってくれただろう?憶えてないのか?」
「いえ、それは忘れたりゃしてねぇですけども、その……」
ビスカスは口籠もりましたが、言わねば分かって貰えないでしょう。視線を外して俯くと、思い切って質問を口にしました。
「……お嬢様の、お洋服が、破れなすってて……もしかして、酷ぇ事でもされたんじゃねぇかと」
「ああ……それを心配してくれたのか」
タンムは決まり悪げにしているビスカスに微笑みました。
「ロゼの上衣のボタンが取れたりしてた件だね。あれは苦しくて自分でやったと言っていたよ。あいつが隣に座った時から息が苦しくなり始めて、手を伸ばして顔に触られそうになった時にはもう座ってられない位になってたそうだ。後は、ロゼの変調に驚いて、あたふたしてただけだったらしい」
「……良かった……!!」
ガチガチに固くなって話を聞いていたビスカスの肩から、ほっと力が抜けました。
「俺がご一緒してたってのにお嬢様に何か有ったら、こちらを辞めさせて頂いたとしても、御詫びになんかなりゃしねーとこでした……!!」
「はぁ?!」
安堵したビスカスと逆に、タンムが顔色を変えました。
「何馬鹿な事を言ってるんだ、お前は!」
「……へ?」
「辞めるなんて、何が有ろうが私達が許す訳無いだろう!?」
「……へい?」
ぽかんとしたビスカスをほとんど怒鳴りつける勢いで、タンムは畳み掛けました。
「いいか?ロゼにもし万一何か有ったとしてもーーいや、何か有ったらむしろ、それを一番何とか出来そうな人間は、今家に居る中では、誰がどう見ても、お前だ。いや、お前しか居ない。断言しても良い」
「……や、そりゃあ」
「否も糞も無い。絶対辞めるな。お前以外にあいつの面倒を見られる者が見つかる迄はーー少なくともロゼが結婚する迄は、辞める事は許さない。これは家族の総意だ」
ロゼ以外の家族のな、とは、口に出さずに付け加えられました。