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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第7章 大きさの問題
「……あの人……」
「うっ」
賑やかな集団が店に収まるか収まらないかという瞬間に、ローゼルの口から低い呟きが漏れました。
「……たち……」
「えっ」
(え、えっ?!あの人、『たち』っ!?)
ビスカスは混乱しました。
「あの人」は単数ですが、「あの人たち」は、複数です。何故「あの人」が複数なのでしょう。
ローゼルの次の呟きこそ、その答えでありました。
「……あの人も、一緒に居た人達も……みなさん、おっぱい、大きかったことね……」
「へっ?!」
「……店…………おっぱい大きいご婦人が、あんなに、たくさん、働いてる店……?」
(ひっ!……なんでバレてっ……!?)
ビスカスは先程察しが悪かったローゼルの、掌を返したかの様な察しの良さに驚愕しました。
ローゼルにしてみれば、驚愕でもなんでも有りません。ビスカスが怪我をした後の見舞いの際の「おっぱい大きい女に惚れてる」宣言以来、その女と何処で知り合ったのかを、さんざん考え続けて来たからです。ビスカスが惚れてるおっぱい大きい女が街の店で働いている可能性など、星の数ほど考えた妄……想像のうちの、たった一つにすぎません。
「……帰るわ。」
「えっ」
固まったビスカスに目もくれずに、ローゼルはすたすたと歩き始めました。
「ちょ、待っ、お嬢……ローゼル?!」
「お前は、ゆーーーーっくり帰って来ても、構わなくってよ?」
「えっ」
「せっかくお会い出来たんだから、お話してらしたら?……おっぱい大きい皆さんと。」
「話なんざねぇです!!話すことなんてねーです、ぜんっぜん、ねーですって!!」
「付いて、来ないで。」
ビスカスの話を聞かずに、ローゼルはぷいっとそっぽを向いて、つかつか歩き始めました。
「や!そーゆー訳にゃあ!」
「じゃあ、離れて。」
「へい……」
「もっと。」
「……へーい……」
ビスカスは雨に降られた犬の様に、しおしおと萎れてローゼルの後をとぼとぼ付いて行きました。
その後も、帰り道に寄り道しまくり買いまくった物はちゃんと持って付いて来いだの、でも乗り物に乗る際は間を一人分開けろだの、久々に暴君っぷりを存分に発揮しました。
しかし、疚しい心当たりが有り過ぎるビスカスには、ローゼルを責める事は出来ません。