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第1章 初夜の問題

　ビスカスは、辛い思いをしたローゼルに、自分と一緒に居る時だけでも、痛いとか、怖いとか、気持ち悪いとは、決して思わせたくなかったのです。
　……ところが。

「……気持ち、いぃっ……」
「…………へ？」
「ビスカス……そこ、気持ち良かったのっ……」
「……えっ、でも」
「もう一回、触って……？」
「……こう、ですか？」
「っぁんっ！」
「……お嬢様……」

　ビスカスは肌を染めて身を捩るローゼルを呆然と見詰めていましたが、やがて恐る恐るローゼルの脇腹に口づけました。

「っゃあああん！」
「やっぱり、気持ちイイんですかい？」
「んっ、うんっ…あ、あぁん、んんっ、ん」

　そこを舌と唇で愛撫しながら胸とこれから入るであろう場所を弄ると、ローゼルはびくびく跳ねて高い声を上げました。

「あ、やぁあん、いいっ、ぁっ」
「すげぇ…っ」

　ローゼルから溢れた蜜の様な潤みは、青いドレスに滴って濡らしました。
　その様を見ていたビスカスは、どこもかしこも弾け飛んでしまいそうに感じました。

「お嬢様っ……入れても、良いですかっ」
「うん、んっ、ん」

　こくこくと頷くローゼルの膝を立てて割り開き、ビスカスはその場所に己を宛てがいました。

「……お嬢様、すいやせん……」
「ん、大丈、夫っ……っ」

　ビスカスが少しずつ腰を進めると、頭の辺りまで入った所で、ローゼルがきゅっと身を竦ませました。

「っん……う」
「痛ぇですか？」
「うぅん……」
「我慢しねぇって、約束ですよね」
「ん……痛いの、ビスカス……っ！」

　予想外の事でしたが、ローゼルが「痛いの」と言うのを聞いた瞬間、ビスカスは自身の質量を増してしまい、舌打ちしました。
　ローゼルは、明らかに辛そうでした。ビスカスはそれを見ていられなくなって、歯を食いしばって身を離しました。

「……え？」
「お嬢様。今日は、止めときやしょう」
「え！でも」
「さっき言いやしたよね？初めてだと、入らねー事ぁざらなんですよ？無理してヤる事ぁ有りやせん」
「だって……初夜を終えないと、婚約は」
「婚約はちゃんとやりゃあ良いです。初夜の首尾なんざ言わなきゃ分かりやせんし、最初ぁ入らねー夫婦だって居やすでしょうよ」
「それは、そうかもしれないけれど……お前の、それ……」

　ローゼルは、先程自分が中途半端に受け入れた物を、そうっと見ました。