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セイドレイ【完結】
第15章 見えない敵

亜美からショーツを奪い取った本山は、それを丸めて自分のポケットに仕舞い込んだ。
「どうせ帰りにハメるんだ。高崎、お前これから学校ではノーパンで過ごせ。毎朝先生が預かって、帰りに返してやる。いいよな?」
「──はい。分かりました」
嫌だ、と言っても無駄であることは分かりきっていた。
ここで下手に抵抗をしても、時間と無駄にして余計なストレスを感じるだけだ。
亜美はなにもまとわない下半身をスカートに隠し、教室へと向かう。
あんな布切れ1枚をどれだけ頼りにしていたのかと思うほど、ノーパンで過ごすことがここまで不安なものとは──。
教室では、無邪気に笑うクラスメイトたち。
彼らもまさか、亜美が数分前に本山の精液を口で受け止め、ノーパンで過ごしているなどと考えもしないだろう。
亜美はいつも以上に人の目線を避け、席につく。
ほどなくして朝のショートタイムが始まるのだが──今日はその様子がいつもと違っていた。
担任に連れられ、1人の男子が教室に入ってくる。
その姿に、教室の中がざわつく。
(転校生…?そういえばそんな話してたような──)
「…はい、みんな静かに。今日からうちのクラスに転校してきた、水野貴之君だ。さぁ、みんなに自己紹介してくれ」
「み、水野貴之です!よろしくお願いしますっ…!」
ぺこり、と一礼すると、まばらな拍手が起こる。
亜美も気のない拍手を適当に3回ほど贈った。
転校生の名は、水野 貴之(みずの たかゆき)。
貴之は高身長で、筋肉質でややムッチリとしていた。
短髪で男らしい、スポーツマンタイプの好青年、という印象である。
亜美は席につく貴之の姿を視線で追いながら、自分が転校してきた日のことを思い出していた。
そして放課後──。
亜美はいつもどおり本山の呼び出しに応じるべく、なるべく誰にも話しかけられないようなオーラを放ちながら、カバンに教科書をしまっていた。
そこへ──。
「──た、高崎さんっ!」
突然の呼びかけに、「ビクッ」と思わず肩をすくめて驚く亜美。
「な、なんでしょうか…?」
そこには転校生、貴之の姿があった。
「ご、ごめん!びっくりさせちゃって…。あの、先生から聞いたんだけど、俺の家と高崎さん家が近所みたいで…さ。その、よかったら…一緒に帰ってもらえたりとか…ダメっすか!?」
(え…────)

