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セイドレイ【完結】
第16章 初恋
放課後。
職員室では、本山が会議の資料を作成していた。
本日の "奉仕活動" がない理由は、このためだ。
パソコンの画面に向かう本山。
しかしその頭の中は、亜美のことでいっぱいだった。
「(畜生…。ムラムラして仕事どころじゃねぇ。1発便所でヌいてくるか──)」
そんなことを考えていた、そのとき──。
「──ごくろうさん。本山先生、ちょっといいかね?」
「り、理事長…!おつかれさまです!は、はいっ!私になにか御用でも??」
「君にたずねたいことがあってね。私の部屋まで来てくれないか?」
「しょ、承知しましたっ…!すぐ参りますっ…!」
突如、職員室に姿を現した新堂は、本山を理事長室に呼び出した。
「(なんだなんだ?まさか高崎のやつ…約束やぶりやがったか?もし例の件だったらまずいぞ…。まずいまずいまずい──)」
本山は嫌な予感を抱きながら、「コンコン」と理事長室のドアをノックする。
「──し、失礼します」
「どうぞ。まぁ、そこへ座りたまえ」
応接用のソファに腰を下ろす本山。
張りつめる室内の空気に、嫌な汗が止まらない。
そんな緊張感の中、先に口火を切ったのは新堂だった。
「──人間誰しも、目の前のことに夢中になると、ときに周りが見えなくなるものでねぇ」
「は、はぁ…」
「いやね?先生方からいくつか報告を受けていましねぇ。本山先生、最近朝の部活動に顔を出していないそうだが──」
「そっ、それはですね、その──」
「──放課後も、しばらくどこかへ姿を消しているとか。でもまぁ、いいんです。本来なら、これしきのことで私が介入する必要はない。ただ、ひとつ問題があるんですよ。本山先生がその時間『誰と』一緒に居るか、という問題が」
「(まずいっ…やはり高崎のことが──)」
「──正直に話すとしよう。高崎亜美という生徒は先生もご存知かと思いますが、彼女は私にとって特別な生徒でしてね。実は彼女、私の古い友人の親族なんです。その友人の意向もあって、学校での彼女の生活をある程度『監視』しているんですよ」
「かっ、監視…?」
「ええ。でね?不思議なことに──高崎亜美が早朝と放課後、最近ほぼ毎日立ち寄る場所があるんだが──そこになぜか、必ず本山先生の姿があることに気づきましてね」
「それはっ────」