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セイドレイ【完結】
第17章 自由
「いや…むしろ俺のほうこそ…俺なんかでいいのかなって…」
ふたりは互いに見つめあう。
「水野くんが…いい」
どちらともなく顔を寄せあい、やがて唇が重なる。
それは貴之にとっては初めての──そして、亜美にとっては初めて感情を伴う口づけだった。
陵辱者たちの乱暴なキスとはまったく異なる、唇の感触。
胸の奥がキュッと締めつけられるような、愛おしい気持ち。
こうして貴之に触れているだけで、カラダの不調も不安な気持ちも消え失せていくようだった。
しかし、徹底的に陵辱のかぎりを尽くされた少女の "哀しい性" だろうか。
亜美は無意識に、視線を貴之の股間へと注いでしまう。
(あ…──)
貴之の制服のズボンは、ペニスの形がくっきりと浮かびあがっていた。
やはり、あの男たちと同じモノが貴之の股間にもぶら下がっている。
貴之も本音では、カラダが目的ではないのか、いざそのときになればあの男たちのように豹変してしまうのではないか──そう思うと、急に不安が押し寄せてくる。
無理もないだろう。
まともな恋愛すら経験しないまま男の欲望に晒されてきた亜美にとって、男性器は忌むべきその象徴なのである。
「──へへ。キス、しちゃった…。マジ夢みたい」
「そう…だね──」
晴れて恋人同士となったふたりは、そのあと公園を出てトメの家へと向かった。
「──そうかいそうかい。若いっていうのはいいねぇ。だけど、亜美ちゃんを泣かせるようなことがあったら、そんときゃ私が許さないよ?」
「は、はいっ…!大事にしますっ…!」
貴之は、亜美と交際することになったとトメに報告しているようだ。
2人が話しているその隙に、亜美はスマホをチェックする。
(あ…先生から返信来てる…)
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了解。用意しておく。
ていうかさっそく頼みごととは
お前ほんといい性格してるよな。
今度は俺がボランティアになっちまうじゃねぇか。
死ぬまでにもっかいヤラせてくれよ。
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(ふぅ…よかった。これでまた一歩──)
亜美は本山に返信し、貴之とトメのもとへ駆け寄った──。