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セイドレイ【完結】
第18章 踏み絵
『兄貴のパソコン漁ってたら、ダウンロードしてあったエロ動画があったんだけど、これ、見てみ』
その文面と共ともに、パソコンの画面をスマホのカメラで撮影した動画が送られてきた。
貴之がその再生ボタンをタップしようとしたとき、動画の送り主がさらにメッセージを送ってくる。
『めっちゃ高崎亜美に似てね?ww』
「(──あ?なんだよそれ…)」
貴之が再生するのを少しためらっていると、動画を見たほかの男子たちが次々に返信をしてくる。
『確かにwてかこれ本人じゃね?』
『あー分かるわ似てるかも。でも高崎がこんなキモデブとやるわけないしw』
『高崎だと思うと超抜けるかも笑』
『でもマジ激似だわ。だんだん高崎に見えてきたwww』
クラスメイトたちは亜美と貴之が付きあっていることは知らない。
とはいえ、自分の彼女がもてあそばれているようで、貴之は内心おもしろくなかった。
しかし、そこまで言うなら──と、再生ボタンをタップしてみる。
動画には、透き通るような白い肌に、こぼれんばかりの豊満なバストを備えた、艶やかな黒髪の少女が映っていた。
そしてその少女の上に、肥えた毛むくじゃらの不潔そうな男が馬乗りになっている。
「(え…?これって──)」
貴之が驚いたのは、少女のほうではない。
たしかに動画の中の少女は亜美の特徴に酷似してはいるものの、画質の荒さも手伝って100%断言できるかというと微妙なところだった。
動画を見た他の男子たちも、まさかそれが本当にあの高崎亜美であるとはおそらく思ってはいないだろう。
しかし貴之が見ていたのは、上に乗る男のほうである。
その男は、忘れもしない──きのう亜美の家に書類を届けに行った際、窓からこちらを睨むように見ていた「あの男」に瓜二つだったのだ。
貴之は1分半ほどのその動画を、何度も繰り返し再生した。
見れば見るほど、上に乗る男は「あの男」で、そうなると下にいる女は亜美にしか見えなくなってくる。
『てか、水野だけ反応なくね?もしかしてシコってるとかww』
『さすが水野w俺もシコろw』
『でもさぁ』
『もしこれがマジで高崎だったらどうするよ?』
『さすがにそれはないだろー笑』
『でもさ、あいつ部活もやってないし、誰ともつるんでねーじゃん。いつもすぐ帰るしさ』
『もしかして援とかしてんじゃね?』