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セイドレイ【完結】
第19章 風評

そんな亜美の葛藤などお構いなしに、今宵も客は訪れる。

いつものように地下室で待機していた亜美は、このときになってようやく今までに感じたことのない気持ちを抱いていた。

それは、貴之が触れたこのカラダを別の男に触れさせたくない──という新しい感情である。
本来亜美が持ち合わせていたはずの貞操や潔癖さが、ここへ来てようやく姿を現し始めた、ということなのだろうか。

処女を捧げたのが貴之であったなら──と考えてみる。
しかし、そんな世界線はどこにも存在しない。
ふたりの運命は、はじめから決まっていたのだ。

亜美は貴之の姿を思い浮かべる。

犬のような優しい目。
たくましい肉体。
汗のにおい。
そして、亜美にとっては忌まわしい象徴であるはずの、男性器。

同じモノが、貴之にもついていた。
それはほかの男たちと同様に、亜美を見て硬くなり、真っ赤に膨れあがった。
十分な大きさを誇るそれは、普段は余った皮に護られた仮性包茎。
亜美の処女を奪った雅彦のモノを彷彿とさせる造形だった。

包皮をめくると、「ムワァ…」と鼻腔いっぱいに広がるあの独特な臭い。
程度は違えど、似かよった臭いが貴之の股間からも放たれていた。

男性器の形状、および衛生状態についての知識などまったく持ち合わせていない亜美。
悪臭を放つ不潔な男性器など、世の女性の大半が嫌悪していることすら知らぬまま──亜美は未だ、男はみな股間からあの臭いを漂わせるものだと思っている。
当然、客の中には露茎の男も居たが、あの個体差は一体なんなのだろうと、不思議に思う程度だった。

近ごろはその臭いを嗅ぐと、一瞬ではあるものの理性がどこかへ吹き飛んでしまうことも薄々自覚していた。

亜美は本能的に、雄の臭いを嗅ぎ分けていたのかもしれない。

その雌としての本能が、今夜は貴之を欲しているようだった。
貴之のフェロモンでマーキングされたカラダを、ほかの雄に上書きされたくない──そんな意識が潜在的に働いていたのだろう。

だからこそ、亜美はまたしても思い悩む。
この気持ちは果たして、恋愛感情からくるものなのか、それとも──ただ貴之のカラダを求めているだけなのではないか──ということに。

愛を伴うセックスを知らぬまま、陵辱によって肉体的な快楽のみが発達してしまった亜美。

このことが、亜美の最大の不幸──だったのかもしれない。

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