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セイドレイ【完結】
第19章 風評

亜美はメッセージアプリを立ち上がる。
通知は3件。
すべて本山からだった。
最初の2件は、亜美が学校を休んでいることに関して不安に思ったのだろうか、それを確認する旨の内容だった。
そして、最新のメッセージの日付は今日の正午ごろ。
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ようやく学校来たか。
心配したぞ。
頼まれといたもの、靴の中に入れといてやった。
踏んづけて壊すなよ。
毎日お前の動画でヌきまくってる。
なんとか、理事長の目の届かないとこで会えないか?
正直、もう我慢の限界なんだ…。
俺もなにか方法を考えるから、お前も協力してくれ。
頼む。ハメたくて毎日死にそうだ。
またな。
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本山のあまりに率直な訴えに、亜美は少々困惑する。
協力してくれていることは確かであるし、本山はなんやかんやでスマホのことを新堂にバラさずにいてくれた。
それを思うと、本山の要求を無下にすることもできず、亜美は複雑な心境で取り急ぎ返信をする。
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先生、ありがとうございます。
さっき無事に受け取りました。
相変わらず、新堂さんがなにを考えているか分かりません。
なので今はあまり動かないほうが…。
具体的になにかあるなら、またメッセージください。
私もできるだけ考えてみますが、無理だったらごめんなさい。
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これが亜美なりの、本山に対する精一杯の誠意だった。
そして、亜美はさらにスマホを操作する──。
「──よし。今日はここまで」
亜美はスマホを棚に仕舞うと、貴之とトメの元へ駆け寄った。
それから20分ほど談笑し、ふたりは再び帰路につく。
「──あの…さ。亜美のスマホのことなんだけど…」
「えっ?…私の?」
「うん。聞かないほうがいいのかな…とは思ってたんだけど…いつもなにしてるのかな~って思ってさ…」
「あ…うん。あれは…えっとね…──」
貴之がそんな疑問を抱くのも無理はない。
自分の彼女が他人に預けたスマホをいつもコソコソと操作していたら、気にならない者はいないだろう。
亜美は咄嗟に考えた "嘘" で、その場を取り繕うことにした。

