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セイドレイ【完結】
第21章 満月の喧騒
♢♢♢
雅彦がこのビジネスから足を洗いたいと新堂に申し出たのは、その夜の直後のことであった。
だがそれは軽く一蹴されてしまい、今夜も亜美は鏡の向こうで客に犯されている。
これまでにない、大勢の男たちに──。
雅彦は健一と入れ替わる形で、モニター室の監視についた。
すると、客の1人がおもむろに亜美を鏡の前へ連れてくる。
そして鏡に手を付かせ、立ちバックの体位を取らせた。
豊満な乳房が鏡面に押し当てられ、雅彦側から見るとひしゃげてしまっている。
雅彦は歯を食いしばり、グッとこらえた。
本当は今すぐにでも地下室へ駆け込み、こう怒鳴りたかった。
『ワシの女に手を出すな』と──。
しかし「よく見ておけ」などと健一に言った手前、自分が目を逸らすわけにはいかない。
目の前の現実を。
目の前のひとりの少女を、雅彦はその目に焼きつける。
これが、自分たちのしていること。
こんなものが、自分たちの望んだことなのだから──。
「──あ~み~?誰だか分かるかなっ?パパだよ~?」
亜美を立ちバックで犯すその男は、千佳の父である荒垣だった。
「この前はまさかあんなとこで会うなんて~パパびっくりしちゃったよ!あとで千佳に聞いたけど、一緒に居たガキは千佳が好きな奴なんだって~?」
「イッ…イヤァッ……」
「このおマンコで千佳の好きな男奪っちゃったんだ?パパちょっと複雑だなぁ~亜美がそんな悪いコだったなんて!だから今日はたっぷりおしおきだからねっ?オラッ!オラオラァッ!!」
「アッ!アンッ…!パパッ…ダメぇっ…──」
荒垣の容赦ないピストンとスパンキング。
粘膜が擦れる音が、鏡越しの雅彦まで聞こえてくるようである。
すると──。
「──おぉ、雅彦じゃないか。どうだ?盛り上がっているか?」
何食わぬ顔で、新堂がモニター室に現れた。
「あぁ。見てのとおりだ」
鏡越しの光景を見た新堂は、満足気な笑みを浮かべる。
「しかし、こいつらは実に品がないなぁ。見ろ?あのマヌケな面を。なんだか亜美が気の毒になってくるねぇ、クククッ…」
新堂のそんな言い草に、雅彦は拳を握り締め静かに歯を食いしばる。
「今日だけでいくらの金が集まったと思う?亜美はまさに、この病院を救う女神だ。もう足を向けて寝られんぞ?雅彦。あ、向けているのは足ではなかったなぁ?ククッ…」