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セイドレイ【完結】
第23章 折衝
「──ま、そんな見合いの話もあって、ちょっとモヤモヤしてさ。自分の人生なのに、なにひとつ自分で決められない。だから、亜美を連れて逃げようと思ったってワケ。はは、虫が良すぎるかー。結果、見事にフラれちゃったしなー」
「ふっ、フッたなんて…そんな…」
「はいはい、慰めは勘弁してくれよ。余計むなしくなるだけだし。てか、俺の話はどーでもいいんだ。結局、水野との話し合いはどうなったんだ?」
「それが…実はまだ話し合いは続いてて…。途中で水野くんが体調を崩したんで、お母様と先に帰宅したんですけど…。水野くんのお父様は、まだ話し合っているかと…」
「…そっか。しっかし、新堂のおっさんもエグいこと考えるよな。で、相手の親はなんて言ってんの?」
「その前に、まずは私と水野くんの間に合意があったかどうかを確認したい、ってお父様が言い出して…。私、まさかそんな話になるとは思ってなくて…」
「──なるほどな。なんかそんな気はしてたけど。で?」
「はい…。もちろん、それは水野くんのご両親も否定されてて…。ただ、水野くん本人が…生んでほしい、って」
「…は?マジで?」
「え、ええ…。結婚したいから生んでほしい、って…。それを聞いたら私、もうわけが分からなくなっちゃって、取り乱しちゃったんです。それで、先に部屋に返されて…今ここにいます」
「…へぇ。いや、その水野って奴、すげーと思うよ。普通はなかなかそんなこと言えねーよ。多分、亜美のこと本当に好きなんだろうな…」
「そう…なんでしょうか…」
「ああ。好きでもなかなか言えないと思う…。でも、それを新堂のおっさんが知ったら、まためんどくさそーだな。そういや、新堂のおっさん、今日うちに来てるぞ」
「え…そうなんですか?」
「うん。てっきり話し合いに参加するって思ってたんだけど…違ったんだな。ほら、学園の理事って肩書きだろ?だから…なんかその辺を脅しの文句にして、水野の親に圧力かけんじゃね?ってさ。まぁ、それは俺の考え過ぎだったか────」