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セイドレイ【完結】
第4章 野性
雅彦は、突如襲いかかったその変調に戸惑いつつも、全身からみなぎる得体の知れない充足感に酔いしれていた。
いや、これほどの興奮は、生まれてはじめてかもしれない──。
先ほどの少女の顔が脳裏に焼き付いて離れず、思い浮かべるたびに今にも狂ってしまいそうなほどだった。
雅彦はそのまま右手で男性器を握ると、息を荒げて、まるで自慰を覚えたての少年のように、一心不乱に扱き上げた。
「(はあぁ…っ、イクッ…、イッ──)…っぐうぅぅっ…!!」
もはや、声を押し殺すことさえ忘れ、目の前の便器へと大量のザーメンをぶちまけた雅彦。
その圧倒的な射精感たるや、若い時分にですら感じたことがないほどの衝撃。
脳天を直撃するような、ひどく劇的な快感だった。
「ドクッ、ドクッ」と、心臓の音に呼応して、肉棒が太い脈を打つ。
「ハァッ!ハァッ!ハァッ……ウッ……こ、こいつは一体…──?」
雅彦はさらなる戸惑いを覚える。
射精を終えてもなお、勃起は収まるどころか、すぐ次の射精を待ち望んでいるかのように膨らみと固さを維持したままだったのだ。
「(なっ…なんなんだ…あの女はっ…──!)」
その後、葬儀が終わり火葬場へと移動する道中も、雅彦はあの少女のことばかりが頭を巡っていた。
男としての本能が、あの少女を欲している──。
両親を亡くした悲しみに打ちひしがれた少女の、さらに絶望に歪む顔が見たい──、そう思った。
少女を犯し、陵辱し、ボロボロにしたい。
その人生から一切の光を遮断し、真っ暗な闇の深淵へと突き落としたい──。
雅彦は、そんな危険な妄想を止めることができなかった。
奇しくも、少女の引き取り手に困っていると聞いたのは、すぐ後のことだった。
親族一同、少女に同情こそすれど、責任を持ちたくないという本音と建前がありありと感じられた。
雅彦に一切の迷いはなかった。
これは運命だ、と。
少女を手に入れるためであれば、何も惜しくないとさえ思えた。
「…では、ワシが引き取るというのはどうだろう?」
雅彦がそう言うと、親族たちは驚きつつも、みな一瞬にして安堵の表情を浮かべた。
これが、その少女──、亜美が武田家に引き取られることになった経緯である。
雅彦のカラダには、力がみなぎっていた。
長らく男性として不能であった男が、野性を取り戻した瞬間だった──。