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セイドレイ【完結】
第27章 愛
もちろん、健一が亜美の所在など知る由もない。
電話を切った雅彦は溜め息をつき、残すは慎二に確認するしかないと思った。
寝ている所を起こすと特に機嫌が悪いため気が進まなかったが、そうも言ってはいられない。
雅彦は再び慎二の部屋へ向かう。
「…おい、起きろ!ちょっといいか?おい!」
「…ん?なんだよ親父こんな朝っぱらから…うっせーな」
いつもより心無しか、慎二の寝起きがおとなしい。
「…お前、亜美がどこに行ったか知らないか?家中探しても居ないんだ…昨夜、何かあったか?家に居たのはお前だけなんだ!」
「しっ…知らねーよ。昨日は…亜美の部屋でヤルついでに宿題見てやったけど、そっからどうしたかは俺は知らねぇし」
慎二は当然のようにしらばっくれた。
まさか、自分が亜美を外へ連れ出したことで、何者かによって亜美が連れ去られたなど、口が裂けても言えるはずがない。
「…お前が宿題を…?まぁそんなことはいい、本当に知らないのか!?何か変わった様子があったとか…おい、聞いてるのか!?」
雅彦が明らかに取り乱しているのが分かる。
だが、亜美を探しもせず見捨てて来た慎二は、自分の保身のことだけ考えていた。
「だからっ…知らねーつってんだろ!?何なんだよ俺が何かしたって疑ってんのかよ!?…あれじゃねぇの?彼氏とやらと逃げちまったんじゃねぇのか?とにかく、俺は知らねーから。そのうち帰ってくんじゃねーの?だからとっとと失せろよクソ親父!」
「…この野郎!…ちっ…お前に聞いたのが間違いだったな」
雅彦は慎二の部屋のドアを思い切り閉めた。
亜美はどこへ姿を消したのか。
彼氏と逃げた…慎二はそう言ったが、確かにその可能性が無いわけでは無い。
貴之とその両親との話し合いは、明日の夜を予定している。
それを前に、二人して駆け落ちでもしたとするなら…動機は十分にある。
しかし、二人とも高校生だ。
逃げるにしても知恵と金が…そうだ、金に関しては亜美がいくらか持っている。
雅彦はめまいがした。
事情はさておき、このまま亜美が戻らなかったらーー。
そうこうしているうちに、午前の診療の時間が迫っている。
すっかり眠気も吹き飛んだ雅彦は、心が落ち着かないまま白衣に袖を通した。
電話を切った雅彦は溜め息をつき、残すは慎二に確認するしかないと思った。
寝ている所を起こすと特に機嫌が悪いため気が進まなかったが、そうも言ってはいられない。
雅彦は再び慎二の部屋へ向かう。
「…おい、起きろ!ちょっといいか?おい!」
「…ん?なんだよ親父こんな朝っぱらから…うっせーな」
いつもより心無しか、慎二の寝起きがおとなしい。
「…お前、亜美がどこに行ったか知らないか?家中探しても居ないんだ…昨夜、何かあったか?家に居たのはお前だけなんだ!」
「しっ…知らねーよ。昨日は…亜美の部屋でヤルついでに宿題見てやったけど、そっからどうしたかは俺は知らねぇし」
慎二は当然のようにしらばっくれた。
まさか、自分が亜美を外へ連れ出したことで、何者かによって亜美が連れ去られたなど、口が裂けても言えるはずがない。
「…お前が宿題を…?まぁそんなことはいい、本当に知らないのか!?何か変わった様子があったとか…おい、聞いてるのか!?」
雅彦が明らかに取り乱しているのが分かる。
だが、亜美を探しもせず見捨てて来た慎二は、自分の保身のことだけ考えていた。
「だからっ…知らねーつってんだろ!?何なんだよ俺が何かしたって疑ってんのかよ!?…あれじゃねぇの?彼氏とやらと逃げちまったんじゃねぇのか?とにかく、俺は知らねーから。そのうち帰ってくんじゃねーの?だからとっとと失せろよクソ親父!」
「…この野郎!…ちっ…お前に聞いたのが間違いだったな」
雅彦は慎二の部屋のドアを思い切り閉めた。
亜美はどこへ姿を消したのか。
彼氏と逃げた…慎二はそう言ったが、確かにその可能性が無いわけでは無い。
貴之とその両親との話し合いは、明日の夜を予定している。
それを前に、二人して駆け落ちでもしたとするなら…動機は十分にある。
しかし、二人とも高校生だ。
逃げるにしても知恵と金が…そうだ、金に関しては亜美がいくらか持っている。
雅彦はめまいがした。
事情はさておき、このまま亜美が戻らなかったらーー。
そうこうしているうちに、午前の診療の時間が迫っている。
すっかり眠気も吹き飛んだ雅彦は、心が落ち着かないまま白衣に袖を通した。