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セイドレイ【完結】
第27章 愛
診療中も、亜美の事が気がかりで手につかない。
こんなことは初めてだ。
雅彦は、ひとまず午前の診療を終えてから考えようと、必死で集中した。
もしかしたら、ひょっこり帰って来ているかもしれない。
雅彦はそう願った。
亜美が自発的に家を飛び出したとして、それが何故今なのか。
今までそんなタイミングなら、逆にいくらでもあったではないか。
自らの意思で、この家の家族になると言った矢先にどうして…。
やはり、あれは何かを欺くための、亜美がついた嘘だったというのか。
だとすると、貴之と逃げたと考えるべきかーー。
頭の中をこれらが延々と駆け巡る。
警察に捜索願を出すことのリスクは、誰よりも雅彦が承知していた。
その前に、新堂がそれを許さないだろう。
明日には、貴之とその両親との話し合いのため、新堂が家にやってくる。
その前に、何とかして亜美を見つけ出さないことにはーー。
健一から、亜美を心配するメールと着信が届いている。
それに返信をする余裕も無いまま、午前の診療はあっという間に終わった。
雅彦はすぐに家へ戻ると、まずは玄関の靴を確認する。
やはり、亜美が戻って来ている形跡は無い。
念の為、再度、地下室を含め屋敷中を探して回るが、その姿はどこにも無かった。
何か手がかりは無いかと、亜美の部屋を探してみる。
勉強机の上には、やり掛けた宿題や参考書が置かれている。
引き出しの中を探してみても、几帳面に整頓された文房具があるだけで、手がかりらしい手がかりはどこにも無い。
クローゼットを見ても、制服のブレザーが掛けてあるだけだ。
しかし、亜美が普段着ているコートが無かった。
やはり、亜美はどこかへ行ってしまったのか。
その時ふと、クローゼットの下に置いてある大きな紙袋に目が行く。
その中には、クリスマス用のラッピングがされたプレゼントがひとつ。
入っていた紙袋の大きさからするに、雅彦達へのプレゼントと一緒に購入したものだろうと推測できたが、果たして亜美はこれを誰に贈ろうとしていたのかーー。
すると、雅彦の携帯に着信が入る。
健一だろうと思って携帯を見ると、電話をかけてきたのは新堂だった。
こんな時に。
雅彦はゴクリと唾を飲み込むと、深く深呼吸をして電話にでた。
「…もしもし、ワシだが。どうした?何かあったかーー」
こんなことは初めてだ。
雅彦は、ひとまず午前の診療を終えてから考えようと、必死で集中した。
もしかしたら、ひょっこり帰って来ているかもしれない。
雅彦はそう願った。
亜美が自発的に家を飛び出したとして、それが何故今なのか。
今までそんなタイミングなら、逆にいくらでもあったではないか。
自らの意思で、この家の家族になると言った矢先にどうして…。
やはり、あれは何かを欺くための、亜美がついた嘘だったというのか。
だとすると、貴之と逃げたと考えるべきかーー。
頭の中をこれらが延々と駆け巡る。
警察に捜索願を出すことのリスクは、誰よりも雅彦が承知していた。
その前に、新堂がそれを許さないだろう。
明日には、貴之とその両親との話し合いのため、新堂が家にやってくる。
その前に、何とかして亜美を見つけ出さないことにはーー。
健一から、亜美を心配するメールと着信が届いている。
それに返信をする余裕も無いまま、午前の診療はあっという間に終わった。
雅彦はすぐに家へ戻ると、まずは玄関の靴を確認する。
やはり、亜美が戻って来ている形跡は無い。
念の為、再度、地下室を含め屋敷中を探して回るが、その姿はどこにも無かった。
何か手がかりは無いかと、亜美の部屋を探してみる。
勉強机の上には、やり掛けた宿題や参考書が置かれている。
引き出しの中を探してみても、几帳面に整頓された文房具があるだけで、手がかりらしい手がかりはどこにも無い。
クローゼットを見ても、制服のブレザーが掛けてあるだけだ。
しかし、亜美が普段着ているコートが無かった。
やはり、亜美はどこかへ行ってしまったのか。
その時ふと、クローゼットの下に置いてある大きな紙袋に目が行く。
その中には、クリスマス用のラッピングがされたプレゼントがひとつ。
入っていた紙袋の大きさからするに、雅彦達へのプレゼントと一緒に購入したものだろうと推測できたが、果たして亜美はこれを誰に贈ろうとしていたのかーー。
すると、雅彦の携帯に着信が入る。
健一だろうと思って携帯を見ると、電話をかけてきたのは新堂だった。
こんな時に。
雅彦はゴクリと唾を飲み込むと、深く深呼吸をして電話にでた。
「…もしもし、ワシだが。どうした?何かあったかーー」