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セイドレイ【完結】
第30章 姿なき脅迫
『亜美について進展がある』
そう雅彦に言われ、仕事が終わるやいなや一目散に武田家に帰ってきた健一。
亜美が消えてからは、毎週末帰ってくることも無くなっていた。
その分、彼なりに仕事終わりに亜美を探していた。
無駄だと分かっていても、どうしてもじっとしていられなかった。
勤務する大学病院に、患者として訪れていないかを調べたりもしたが、全て徒労に終わっていた。
新堂に任せておくのが賢明だと分かっていながら、健一が亜美を独自に探していた理由。
それは、自分が亜美を見つけ出したいという、ただその気持ちだけだった。
最初こそ、健一も亜美を玩具として扱おうとしていた。
しかし彼の場合、途中から急激に、亜美に対してはっきりと恋愛感情を抱くようになっていた…と、本人はそう信じていた。
彼も性癖こそ…やはり独特なものを持ちながらも、心なしか亜美とのセックスには、あくまで他の男達と比較しての事だが、暴力性は低かった。
父や弟、そして会員の男達とは自分は違う。
そう思うことで、健一は亜美への罪悪感から目を逸らしていただけなのかもしれない。
亜美を連れてこの屋敷を出ると言ってみたり、亜美を輪姦する会員達に怒りをあらわにする等、時間の経過と共にその言動は変化して行く。
今では完全に、自分こそが亜美の夫になるべきだと、本気で思っていた。
昨年末に、亜美がこの家の家族になると表明してからは、もうその気持ちに歯止めは効かなくなっていた。
その矢先に、突如として亜美は姿を消したのである。
健一は亜美が無事に帰って来たら、正式にプロポーズをするつもりでいた。
別に良いのだ。
自分の妻が、父や弟、その他大勢の男に抱かれていようが、自分はそれを『受け入れる』と決めていた。
むしろそんな状況の中で、自分が亜美の戸籍上の夫になる事に意味を見出そうとしていたのである。
そこから分かる通り、彼もまた、自分の事しか考えていないのは明白だった。
もしかしたら、亜美が居なくなった現実を一番受け入れられないのは、健一なのかもしれない。
そして、自分がこれまで亜美に対し、犯した罪の重さも。
「……よし、集まったな。前置きは省く。まずはこいつを見てくれ。これは今朝、何者かが家のポストに入れて行ったものだーー」
そう雅彦に言われ、仕事が終わるやいなや一目散に武田家に帰ってきた健一。
亜美が消えてからは、毎週末帰ってくることも無くなっていた。
その分、彼なりに仕事終わりに亜美を探していた。
無駄だと分かっていても、どうしてもじっとしていられなかった。
勤務する大学病院に、患者として訪れていないかを調べたりもしたが、全て徒労に終わっていた。
新堂に任せておくのが賢明だと分かっていながら、健一が亜美を独自に探していた理由。
それは、自分が亜美を見つけ出したいという、ただその気持ちだけだった。
最初こそ、健一も亜美を玩具として扱おうとしていた。
しかし彼の場合、途中から急激に、亜美に対してはっきりと恋愛感情を抱くようになっていた…と、本人はそう信じていた。
彼も性癖こそ…やはり独特なものを持ちながらも、心なしか亜美とのセックスには、あくまで他の男達と比較しての事だが、暴力性は低かった。
父や弟、そして会員の男達とは自分は違う。
そう思うことで、健一は亜美への罪悪感から目を逸らしていただけなのかもしれない。
亜美を連れてこの屋敷を出ると言ってみたり、亜美を輪姦する会員達に怒りをあらわにする等、時間の経過と共にその言動は変化して行く。
今では完全に、自分こそが亜美の夫になるべきだと、本気で思っていた。
昨年末に、亜美がこの家の家族になると表明してからは、もうその気持ちに歯止めは効かなくなっていた。
その矢先に、突如として亜美は姿を消したのである。
健一は亜美が無事に帰って来たら、正式にプロポーズをするつもりでいた。
別に良いのだ。
自分の妻が、父や弟、その他大勢の男に抱かれていようが、自分はそれを『受け入れる』と決めていた。
むしろそんな状況の中で、自分が亜美の戸籍上の夫になる事に意味を見出そうとしていたのである。
そこから分かる通り、彼もまた、自分の事しか考えていないのは明白だった。
もしかしたら、亜美が居なくなった現実を一番受け入れられないのは、健一なのかもしれない。
そして、自分がこれまで亜美に対し、犯した罪の重さも。
「……よし、集まったな。前置きは省く。まずはこいつを見てくれ。これは今朝、何者かが家のポストに入れて行ったものだーー」