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セイドレイ【完結】
第30章 姿なき脅迫
「で……俺に話したいことって…何?」
学校近くのファストフード店。
そこには、テーブル席で向かい合う貴之と千佳の姿があった。
「うん…亜美ちゃんのこと……なんだけどさ。急に留学したって…本当なの?」
「……あぁ」
「そっ……か。それで……その…二人はさ、まだ…付き合ってるってことで…いいのかな?」
「…………」
「そのうち…帰って来るんでしょ?まさか、ずっと行ったきりなんてこと…ないよね」
「………知らない。でも、俺達は別れたよ。正確に言うと、俺が振られたんだけどさ」
「…え?そっ、そうなの!?どうしてっ!??」
目を丸くして驚く千佳。
「どうして…か。うん…俺も聞きたいくらいなんだけどさ。ははっ。まぁでも、しょうがないよね」
どこか乾いた調子でそう言った貴之。
てっきり、二人がまだ恋仲であると思っていた千佳は、内心嬉しいような、ホッとしたような気持ちになりつつも、斜め下へ視線を落とす貴之の表情からは、きっとまだ亜美を好きなのだろうということが伺い知れる。
「…そもそも、二人はどうして付き合うことになったの?」
千佳が質問を投げかける。
それは、貴之が一番知りたいことでもあった。
「…どしてだろうね。よくよく考えてみると、亜美が俺みたいなのを相手にする理由なんてないしなぁ」
「……それを、私の前で言っちゃうの?」
「……へ?」
「私だって…私だって、水野君のこと好きになったのに…」
「ご…めん。いや、そういう意味じゃ…なくて…さ」
「…じゃあ、どういう意味?」
二人の間に、しばしの沈黙が流れる。
間が持たないと感じた貴之は、頼んだドリンクをゴクゴクと一気に飲み干す。
「…ふぅ。とりあえず、さ。亜美とはもう終わったから。聞きたいことはもう無い?無いなら俺、そろそろ帰っ…」
「亜美ちゃんまだこの街にいるかも」
「……へ?今、なんて…」
「私が直接…見たわけじゃないんだけどさ」
席を立とうとしていた貴之だったが、千佳のまさかの言葉に慌てて座り直す。
「本当は…水野君に言うつもり無かったんだ。だって、亜美ちゃんが居ない方が私にとっては…でも、水野君の顔見てたら…ね。今目の前にいる私のことじゃなくて、まだ亜美ちゃんのこと見てるみたいだから」
「新垣……」
学校近くのファストフード店。
そこには、テーブル席で向かい合う貴之と千佳の姿があった。
「うん…亜美ちゃんのこと……なんだけどさ。急に留学したって…本当なの?」
「……あぁ」
「そっ……か。それで……その…二人はさ、まだ…付き合ってるってことで…いいのかな?」
「…………」
「そのうち…帰って来るんでしょ?まさか、ずっと行ったきりなんてこと…ないよね」
「………知らない。でも、俺達は別れたよ。正確に言うと、俺が振られたんだけどさ」
「…え?そっ、そうなの!?どうしてっ!??」
目を丸くして驚く千佳。
「どうして…か。うん…俺も聞きたいくらいなんだけどさ。ははっ。まぁでも、しょうがないよね」
どこか乾いた調子でそう言った貴之。
てっきり、二人がまだ恋仲であると思っていた千佳は、内心嬉しいような、ホッとしたような気持ちになりつつも、斜め下へ視線を落とす貴之の表情からは、きっとまだ亜美を好きなのだろうということが伺い知れる。
「…そもそも、二人はどうして付き合うことになったの?」
千佳が質問を投げかける。
それは、貴之が一番知りたいことでもあった。
「…どしてだろうね。よくよく考えてみると、亜美が俺みたいなのを相手にする理由なんてないしなぁ」
「……それを、私の前で言っちゃうの?」
「……へ?」
「私だって…私だって、水野君のこと好きになったのに…」
「ご…めん。いや、そういう意味じゃ…なくて…さ」
「…じゃあ、どういう意味?」
二人の間に、しばしの沈黙が流れる。
間が持たないと感じた貴之は、頼んだドリンクをゴクゴクと一気に飲み干す。
「…ふぅ。とりあえず、さ。亜美とはもう終わったから。聞きたいことはもう無い?無いなら俺、そろそろ帰っ…」
「亜美ちゃんまだこの街にいるかも」
「……へ?今、なんて…」
「私が直接…見たわけじゃないんだけどさ」
席を立とうとしていた貴之だったが、千佳のまさかの言葉に慌てて座り直す。
「本当は…水野君に言うつもり無かったんだ。だって、亜美ちゃんが居ない方が私にとっては…でも、水野君の顔見てたら…ね。今目の前にいる私のことじゃなくて、まだ亜美ちゃんのこと見てるみたいだから」
「新垣……」