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セイドレイ【完結】
第30章 姿なき脅迫
「探偵さんはママに、ついでくらいの気持ちでこの写真を見せてね。関係ないとは思うけど見覚えありませんか~?って。そしたらママが、これ亜美ちゃんじゃないか、って思ったんだって。…ほら、去年の夏、水野君と亜美ちゃんがデートしてる時、ショッピングモールで私達家族と偶然会ったじゃん。…覚えてる?」
「…も、もちろん…」
「ふふっ…私が走って逃げ出しちゃった時ね。…そう、ママがあの時、亜美ちゃんとちょっとだけ会話したでしょ。で、すっごく可愛い子だったから、ずっと顔を覚えてたみたい。それでママが私に…この写真を見せてきたの。もちろん確証は無いけど…でもそっくりだなって。あれ?でもおかしいなって。亜美ちゃんて今はもう日本にいないはずなのに…って。でも誰もそのことについて詳しく知る人がいないから、水野君なら何か知ってるんじゃないか、って思ってさ」
千佳がようやくドリンクに手をつける。
そして一呼吸置いた後、更に話を続ける。
「…私としてはさ、別に亜美ちゃんがどこに居ようが何でもいいんだ。出国の予定が延期になっただけかもしれないし。ただ私は、今も水野君と亜美ちゃんが…付き合ってるのか知りたかっただけ。でも、もしこれが本当に亜美ちゃんだったとしたら、偶然パパが行ったマンションに居るなんて、不思議だよね。それに、この写真じゃよく分からないけど、隣りの男の人は誰だって話でしょ?」
千佳の言うことは至極もっともだ。
仮にこれが亜美だとしたら、もはやどういう状況であるのか、貴之には到底理解が追いつかない。
「…そ、それはそうと、結局お前の親父さんは、何しにそのマンションに行ってたんだ?」
「あー…それがさ、この話にはまだ続きがあってね。一応、その後も夜中まで探偵さんはマンションを出入りする人を全部写真に撮ってたんだけど、その後もう一人びっくりする人が出てきたんだって!…誰だと思う?」
「誰って…見当もつかないけど…」
「…うちの学園の理事長、新堂先生」
「なっ…!?」
新堂の名を、まさかここで聞くことになるとは。
いつだってその男は、亜美の居る所に現れる。
貴之が亜美を妊娠させた疑いをかけられた時も、まるで当然のように話し合いの場に居た。
亜美の留学についても、最初は新堂からの発信だった。
そして今また、亜美らしき人物の影に、その姿をちらつかせている。
「…も、もちろん…」
「ふふっ…私が走って逃げ出しちゃった時ね。…そう、ママがあの時、亜美ちゃんとちょっとだけ会話したでしょ。で、すっごく可愛い子だったから、ずっと顔を覚えてたみたい。それでママが私に…この写真を見せてきたの。もちろん確証は無いけど…でもそっくりだなって。あれ?でもおかしいなって。亜美ちゃんて今はもう日本にいないはずなのに…って。でも誰もそのことについて詳しく知る人がいないから、水野君なら何か知ってるんじゃないか、って思ってさ」
千佳がようやくドリンクに手をつける。
そして一呼吸置いた後、更に話を続ける。
「…私としてはさ、別に亜美ちゃんがどこに居ようが何でもいいんだ。出国の予定が延期になっただけかもしれないし。ただ私は、今も水野君と亜美ちゃんが…付き合ってるのか知りたかっただけ。でも、もしこれが本当に亜美ちゃんだったとしたら、偶然パパが行ったマンションに居るなんて、不思議だよね。それに、この写真じゃよく分からないけど、隣りの男の人は誰だって話でしょ?」
千佳の言うことは至極もっともだ。
仮にこれが亜美だとしたら、もはやどういう状況であるのか、貴之には到底理解が追いつかない。
「…そ、それはそうと、結局お前の親父さんは、何しにそのマンションに行ってたんだ?」
「あー…それがさ、この話にはまだ続きがあってね。一応、その後も夜中まで探偵さんはマンションを出入りする人を全部写真に撮ってたんだけど、その後もう一人びっくりする人が出てきたんだって!…誰だと思う?」
「誰って…見当もつかないけど…」
「…うちの学園の理事長、新堂先生」
「なっ…!?」
新堂の名を、まさかここで聞くことになるとは。
いつだってその男は、亜美の居る所に現れる。
貴之が亜美を妊娠させた疑いをかけられた時も、まるで当然のように話し合いの場に居た。
亜美の留学についても、最初は新堂からの発信だった。
そして今また、亜美らしき人物の影に、その姿をちらつかせている。