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セイドレイ【完結】
第30章 姿なき脅迫
「…あっ、亜美ちゃん…そろそろ…起きよっか…?」

「んぅ………」


田中の声で亜美は目を覚ました。


「…大丈夫…?ごめんね、疲れてる…よね。でもそろそろ準備しないと…いけない…から…」


亜美が寝ていた場所。
それは『田中の新居』だった。

亜美の監禁場所として使えなくなった以前のアパートを引き払い、田中は新しい部屋に越していた。

以前の部屋よりは築が浅く若干小綺麗ではあるものの、質素なワンルームという点ではあまり変わらない。

亜美は主に、会員の相手をする時以外はこの部屋で田中と過ごし、夜になると例のマンションへ移動する。

わざわざアパートとマンションを行き来する理由としては、まずその立地にある。

実は例のマンション、武田クリニックからそう遠くない位置にある上に、そこを新堂が所有していることを雅彦は知っていたのだ。

万が一、何か勘づかれた時に誰も知らない場所に亜美を監禁できるよう、またその世話をさせる役目として田中を利用したこともあり、この方法を取っている。

最も、新堂は田中を仲間等とは思っておらず、あくまで捨て駒の一つに過ぎない。

場合によっては、田中に全ての罪を着せ切り捨てることも考えており、そんな男を、たとえ亜美の監視という名目を以てしても、自身所有の高級マンションに住まわせることなどは癪に障るからだ。

飼い犬に餌を与え過ぎるのも良くない。
田中にその立場をしっかりと理解させる為にも、安アパートを当てがっておく方がいい。

会員達の心象を考えた時も、田中がマンションに住んでいるとなると何かと都合が悪い。
会員達は多額の出資をしているにも関わらず、空いた時間でしか亜美を抱けないのだ。
それなのに、社会的地位も何も無い田中が常に亜美のそばに居るとなると、そこを面白くないとする会員も出てくるだろうし、信用問題にも関わってくる。

その為、会員達には亜美が普段どこで生活をしているかも、田中という男の存在も、完全に伏せられている。

様々な合理性とリスクを勘案し、そして、雅彦による妊娠偽装によって失った信頼回復に向けて、新堂は常に三歩程先の事を考えていた。

そしてあくまでも、これは暫定的な運用方法である。

新堂の目的は、またあの地下室へ舞い戻ることーー。

その為に着々と、水面下で動き始めていた。
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