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セイドレイ【完結】
第31章 少女の肖像
しかしながら、これを考えることに一体何の意味があるのだという無力感も同時に襲ってくる。
亜美がまだ日本に居たとして、そこにどんな真実が隠されていたとして、それを解き明かす意味など果たしてあるのだろうか。
いや、それは違う。
それではただ、真実から目を背けているだけだ。
今日、千佳から告白されて、はっきりと自覚したことがあった。
亜美に会いたい。
もう一度、亜美をこの手で抱きしめたい、そう思った。
亜美が自ら望んでそうしていたのかはさておき、今分かっている事実だけでも、貴之にとっては相当ショックではあった。
交際している間、少なくとも他の男に亜美が抱かれていたのは事実だ。
しかもそれは浮気や二股、三股といった性質のものとは少し違い、公園のトイレで見知らぬ男の肉棒を咥えるくらいには倒錯していた。
それでも貴之は、亜美を嫌いになれなかった。
他人は亜美を、汚れていると思うだろうか。
わざわざそんな女を選ばなくてもと、そう思うだろうか。
たまたま童貞を捨てた女の容姿が恵まれていたから、そこに執着しているだけだと、皆嘲笑うだろうか。
魔性の女にたぶらかされていただけだと。
いい加減目を覚ませと、馬鹿にするだろうか。
それでもいい。
たとえボロボロでも、どれだけ汚れていても、愛することは自由なはずだ。
真実などどうでもいい。
ほとんどが嘘だったとしても、全て嘘では無かったはずだ。
今でも亜美を信じられるか。
いや、むしろ何故、信じることを諦めてしまったのか。
ちゃんと傷ついていないから、今でもこうして未練がましく、亜美の存在が大きくなるばかりなのだろう。
あの手紙は、確かに亜美が書いたものだ。
しかし、自分はまだ別れるなんて認めていない。
自分の想いを、何も伝えていない。
振られるならしっかり振られて、しっかり傷つかなければ次に進めない。
亜美に返事をしなければいけないーー。
貴之は何かを決心したように起き上がると、裏返しに伏せていたスマホを手に取った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
新垣、ごめん
俺やっぱ、ちゃんとけじめつけなきゃ
亜美が居たかもしれないマンションの場所
教えてくれないか?
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亜美がまだ日本に居たとして、そこにどんな真実が隠されていたとして、それを解き明かす意味など果たしてあるのだろうか。
いや、それは違う。
それではただ、真実から目を背けているだけだ。
今日、千佳から告白されて、はっきりと自覚したことがあった。
亜美に会いたい。
もう一度、亜美をこの手で抱きしめたい、そう思った。
亜美が自ら望んでそうしていたのかはさておき、今分かっている事実だけでも、貴之にとっては相当ショックではあった。
交際している間、少なくとも他の男に亜美が抱かれていたのは事実だ。
しかもそれは浮気や二股、三股といった性質のものとは少し違い、公園のトイレで見知らぬ男の肉棒を咥えるくらいには倒錯していた。
それでも貴之は、亜美を嫌いになれなかった。
他人は亜美を、汚れていると思うだろうか。
わざわざそんな女を選ばなくてもと、そう思うだろうか。
たまたま童貞を捨てた女の容姿が恵まれていたから、そこに執着しているだけだと、皆嘲笑うだろうか。
魔性の女にたぶらかされていただけだと。
いい加減目を覚ませと、馬鹿にするだろうか。
それでもいい。
たとえボロボロでも、どれだけ汚れていても、愛することは自由なはずだ。
真実などどうでもいい。
ほとんどが嘘だったとしても、全て嘘では無かったはずだ。
今でも亜美を信じられるか。
いや、むしろ何故、信じることを諦めてしまったのか。
ちゃんと傷ついていないから、今でもこうして未練がましく、亜美の存在が大きくなるばかりなのだろう。
あの手紙は、確かに亜美が書いたものだ。
しかし、自分はまだ別れるなんて認めていない。
自分の想いを、何も伝えていない。
振られるならしっかり振られて、しっかり傷つかなければ次に進めない。
亜美に返事をしなければいけないーー。
貴之は何かを決心したように起き上がると、裏返しに伏せていたスマホを手に取った。
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新垣、ごめん
俺やっぱ、ちゃんとけじめつけなきゃ
亜美が居たかもしれないマンションの場所
教えてくれないか?
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