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セイドレイ【完結】
第31章 少女の肖像
「お、親父…!ちょっと一旦止めるぜ!?」

たまらず慎二が停止ボタンをクリックする。



「…やはり、ワシが間違っていたんだな…?」

「親父……」

「何もかも…全て……ワシが間違っていた……」

「…と、とりあえずさ!兄貴にも連絡し…」

「いや…間違いなのは初めから分かっていた……むしろ、間違いを犯すつもりで、亜美を引き取った……」

「…………」

「慎二…お前は今これを見てどう思った?亜美が可哀想と思うか?なぁ?自分達はここまでのことはしてないと思ったか??自分達の方がまだ幾分マシだとほんの少しでも思ったか??それともどうだ?!興奮でもしたかっ??!なぁ?!どうなんだっ……」

「親父…ちょ、ちょっと落ち着けって…」


「…あいつは…亜美はなぁ、ワシのことを『かわいそう』と言ったんだ。殺したい程に憎んでいるワシに……『おかえりなさい』って言ったんだぞ……そしてワシの子を孕みたいと…そう言ったんだ……まだ、まだ責められた方が楽だった。恨まれている方が楽だった。暴力で愛など生まれぬことも初めから分かっていた…でも気づけば……いつしかワシが亜美に捨てられることを恐れていた………」

「親父……………」


「…あれはワシの女だ。誰にもやらん。誰かにやるくらいなら…ワシはもう何も要らん。全て捨てて構わん。…今更償えるなどとは思っとらんし、もちろん許してくれとも…思わん。だがっ、ならばせめてワシが罪を認めーー」



「……はーい、そこまで。…おや?何だ二人して?何か面白い動画でも見ているのかい?私にも見せておくれよ」



その声に雅彦と慎二が振り返ると、部屋の前には新堂が立っていた。
いつからそこに居たのか。
動画に気を取られて、全くその気配に気づかなかった。


「新…堂……お前一体いつから………?」


「ふーむ。いや、誤解しないでくれよ?盗み聞きなんて悪趣味なことは私は嫌いでね……ただあまりにもお前達が『それ』に熱中しているようだったから、邪魔をするのもいかんと思ってねぇ」

新堂はわざとらしい口調でそう言うと、部屋に入ってパソコンの画面を覗き込む。


「うわぁ…何だかむごたらしい映像だねぇ、これ。親子揃ってこういうのが好きなのかい?私は御遠慮したいなぁ…はは」
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