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セイドレイ【完結】
第1章 悲劇のヒロイン
転校初日には、亜美のその美貌は学園中の噂になるほどだった。
しかし、まだ少しあどけなさの残る可憐な表情とは裏腹に、亜美のカラダは大人の女の "それ" へと急速にに変化していた。
ブレザーの上からでも分かるその豊満なバストは、推定Fカップはあるだろうか。
本人は少々コンプレックスに感じているようだが、尻も大きく、形が良い。
身長は150cmと小柄であるがゆえ、嫌でもそれらが強調される。
男性教師たちの目線がその部分に注がれていることも、転校してきたばかりの時は知る由もなかった。
(今なら分かるけど……)
中高一貫の学園に、高等部から転校してきたこと。
そしてそれが、両親を亡くすという悲劇に見舞われてのこと。
クラスメイト達は、そんな「悲劇のヒロイン」に少しばかり気を遣っていた。
彼女をなるべく傷付けず、クラスに馴染んでもらうにはどうすればよいのか──、みなそれぞれに、それなりの優しさを持って接しようとしていたのだ。
しかし当の亜美本人は、そんなクラスメイトたちの気遣いをありがたく思いつつ、どうしても打ち解けられずにいた。
その理由は、両親を失ったかなしみがまだ癒えていないからであろうか。
いや──、そうではない。
「本当の悲劇のヒロイン」の真実を、まだ誰も知らないのだ。