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セイドレイ【完結】
第32章 漂泊
そろそろトイレ掃除も終わるかという頃、玄関の鍵を開ける音が聞こえてくる。
誰か来た。
新堂か酒井か、あるいはその両方か。
亜美は咄嗟に肩をすくめ身構える。
「…やあ、ごきげんよう」
そう言ってリビングに現れたのは、新堂。
そしてその後ろに、酒井の姿があった。
「今日もご苦労だったね。はい」
新堂は亜美にしわしわの千円札を手渡す。
未だに、客一人につき千円の報酬は続いていたのだ。
当初からそれは新堂の悪趣味なパフォーマンスでしか無かったのだが、今の亜美にとっては何の意味も持たない紙切れ同然のもの。
むしろ、より一層惨めさを感じさせられるだけだった。
亜美は千円札を無言で受け取った。
新堂と酒井はちょくちょくこうして客が帰ったあとここに訪れ、何やら打ち合わせをしているようだった。
このマンションへ移動してからも着々と新規会員は増え続けていた。
地下室のような収容力が無いこともあり、一度に相手をする客の数は減ったものの、その分予約は向こう1ヶ月までびっしり詰まっていた。
「お疲れ様です。ただ今掃除が終わりました」
掃除を終えた本山がリビングにやって来て、新堂に報告する。
「ご苦労。では問題無ければ今日は上がってくれ」
「は、はい!……ほら行くぞ、高崎」
本山はハンガーから亜美のコートを取りそれを羽織らせると、2人は部屋から出ていった。
「さて…と。とりあえず現状としては……」
2人の打ち合わせが始まった。
亜美の監禁の様子を撮影し、それを『セイドレイ』にアップしたのは酒井だった。
新堂から、「どうしたら雅彦に心理的なダメージを与えられるか」との相談を受け、酒井がそれを提案した。
それを面白いと感じた新堂は、早速酒井にそれを命じた。
酒井は年明け早々、『セイドレイ』のアカウント『aminogosyujinsama_2』を取得し、元日に動画をアップした。
アカウント名は何でもよかったのだが、わざわざ慎二のアカウント名を踏襲することで、雅彦達に対し「亜美のご主人様はもうお前達では無い」という示唆も込められていた。
サイト上で爆発的な人気を博した、慎二と亜美のセックス動画の数々。
マニアの間では『aminogosyujinsama』に対し熱烈な支持者も居たのだが、突如全ての動画が非公開になったことを皆嘆いていた。
誰か来た。
新堂か酒井か、あるいはその両方か。
亜美は咄嗟に肩をすくめ身構える。
「…やあ、ごきげんよう」
そう言ってリビングに現れたのは、新堂。
そしてその後ろに、酒井の姿があった。
「今日もご苦労だったね。はい」
新堂は亜美にしわしわの千円札を手渡す。
未だに、客一人につき千円の報酬は続いていたのだ。
当初からそれは新堂の悪趣味なパフォーマンスでしか無かったのだが、今の亜美にとっては何の意味も持たない紙切れ同然のもの。
むしろ、より一層惨めさを感じさせられるだけだった。
亜美は千円札を無言で受け取った。
新堂と酒井はちょくちょくこうして客が帰ったあとここに訪れ、何やら打ち合わせをしているようだった。
このマンションへ移動してからも着々と新規会員は増え続けていた。
地下室のような収容力が無いこともあり、一度に相手をする客の数は減ったものの、その分予約は向こう1ヶ月までびっしり詰まっていた。
「お疲れ様です。ただ今掃除が終わりました」
掃除を終えた本山がリビングにやって来て、新堂に報告する。
「ご苦労。では問題無ければ今日は上がってくれ」
「は、はい!……ほら行くぞ、高崎」
本山はハンガーから亜美のコートを取りそれを羽織らせると、2人は部屋から出ていった。
「さて…と。とりあえず現状としては……」
2人の打ち合わせが始まった。
亜美の監禁の様子を撮影し、それを『セイドレイ』にアップしたのは酒井だった。
新堂から、「どうしたら雅彦に心理的なダメージを与えられるか」との相談を受け、酒井がそれを提案した。
それを面白いと感じた新堂は、早速酒井にそれを命じた。
酒井は年明け早々、『セイドレイ』のアカウント『aminogosyujinsama_2』を取得し、元日に動画をアップした。
アカウント名は何でもよかったのだが、わざわざ慎二のアカウント名を踏襲することで、雅彦達に対し「亜美のご主人様はもうお前達では無い」という示唆も込められていた。
サイト上で爆発的な人気を博した、慎二と亜美のセックス動画の数々。
マニアの間では『aminogosyujinsama』に対し熱烈な支持者も居たのだが、突如全ての動画が非公開になったことを皆嘆いていた。