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セイドレイ【完結】
第32章 漂泊
案の定、雅彦はあの動画を見て、自首でもしようと決心したのであろう。
泣いて許しを乞うどころか、再び裏切ろうとしていたのだ。
自分の手で地獄に突き落とした少女を、自分の手で救うために。
それは犯した罪へのせめてもの償いのつもりか、はたまた本当に愛に目覚めたとでも言うのか。
どちらにせよ、新堂にとってそれは実にくだらないことだと思った。
所詮は雅彦も、ただの男だったということだ。
しかし、だからと言ってそれを許す道理など、新堂は持ち合わせていなかった。
当初こそ、架空の誘拐犯の仕業にでもして、時間稼ぎをしつつ雅彦の精神にじわじわとダメージを与えて行くシナリオも面白いと考えていたが、新堂にはもうそんなつもりは無かった。
悪戯に弄ぶのもいいが、徹底的に現実を見せてやるのもいい。
幸い、亜美を取り巻くビジネスは至って順調だ。
さすがの新堂も、これは嬉しい誤算だった。
専用に設計した地下室が無くとも、会員達は我先にと次々に予約を押さえてくる。
おかげで元々広かった新堂の人脈が、ここへ来て更なる広がりを見せていた。
しかし新堂には、高崎亜美という少女が何故あそこまで男共を虜にしているのか、実はよく分からずにいた。
いや、もちろんある程度商機が見込めると踏んだので雅彦の提案に乗ったのだが、それは新堂の想像を上回るものだった。
確かに客観的に見て、容姿に恵まれた少女ではある。
体つきも申し分無い。
しかし、いくらそんな少女に好き勝手できるからと言って、普通は飽きてくるものだ。
しかも相手は社会的地位の高い者ばかりであり、金で女を買うことなど造作ないことである。
仮に女子高生というのがウケているとしても、会員の全てにその性癖が当てはまる訳でもあるまい。
だとすれば、よっぽど『具合』がいいのだろうか。
そもそも、欲にまみれて常に女のことばかりを考えている会員達はさておき、あの雅彦は元々そこまで性に関して奔放なタイプでは無い。
これまで妻以外に妾を囲っている様子も無かったし、どちらかと言えば医師として仕事一筋に生きてきたような男だ。
いくら亜美があどけなさと妖艶さの両方を絶妙なバランスで兼ね備えているとは言え、雅彦のことを骨抜きにしていったその理由とは何なのか。
「新堂先生も、一度試してみたら分かるんじゃないですか?」
酒井が新堂にそう言った。
泣いて許しを乞うどころか、再び裏切ろうとしていたのだ。
自分の手で地獄に突き落とした少女を、自分の手で救うために。
それは犯した罪へのせめてもの償いのつもりか、はたまた本当に愛に目覚めたとでも言うのか。
どちらにせよ、新堂にとってそれは実にくだらないことだと思った。
所詮は雅彦も、ただの男だったということだ。
しかし、だからと言ってそれを許す道理など、新堂は持ち合わせていなかった。
当初こそ、架空の誘拐犯の仕業にでもして、時間稼ぎをしつつ雅彦の精神にじわじわとダメージを与えて行くシナリオも面白いと考えていたが、新堂にはもうそんなつもりは無かった。
悪戯に弄ぶのもいいが、徹底的に現実を見せてやるのもいい。
幸い、亜美を取り巻くビジネスは至って順調だ。
さすがの新堂も、これは嬉しい誤算だった。
専用に設計した地下室が無くとも、会員達は我先にと次々に予約を押さえてくる。
おかげで元々広かった新堂の人脈が、ここへ来て更なる広がりを見せていた。
しかし新堂には、高崎亜美という少女が何故あそこまで男共を虜にしているのか、実はよく分からずにいた。
いや、もちろんある程度商機が見込めると踏んだので雅彦の提案に乗ったのだが、それは新堂の想像を上回るものだった。
確かに客観的に見て、容姿に恵まれた少女ではある。
体つきも申し分無い。
しかし、いくらそんな少女に好き勝手できるからと言って、普通は飽きてくるものだ。
しかも相手は社会的地位の高い者ばかりであり、金で女を買うことなど造作ないことである。
仮に女子高生というのがウケているとしても、会員の全てにその性癖が当てはまる訳でもあるまい。
だとすれば、よっぽど『具合』がいいのだろうか。
そもそも、欲にまみれて常に女のことばかりを考えている会員達はさておき、あの雅彦は元々そこまで性に関して奔放なタイプでは無い。
これまで妻以外に妾を囲っている様子も無かったし、どちらかと言えば医師として仕事一筋に生きてきたような男だ。
いくら亜美があどけなさと妖艶さの両方を絶妙なバランスで兼ね備えているとは言え、雅彦のことを骨抜きにしていったその理由とは何なのか。
「新堂先生も、一度試してみたら分かるんじゃないですか?」
酒井が新堂にそう言った。