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セイドレイ【完結】
第33章 モノローグ
その後、周りに居た二人のお義兄さんからも立て続けに…。

嫌じゃなかったかって?
もちろん嫌に決まってるじゃないですか。

そもそも私…それがどういう行為なのかすら、あの時はよく分かってなかったんです。
だから単純にびっくりしたって言うのと、なんだろう…誰にも言えない秘密ができちゃったなぁ…って思いました。

でも正直なところ、もうあまりよく覚えてないんです。
いえ、そのこと自体は覚えてます。むしろはっきりと。
だけど、その時自分がどういう気持ちだったかは…もうあまり。

これはさすがに普通じゃない…?
そうですよね。私もそう思います。

でも、あの家ではそれが普通だったみたいです。

それからはほぼ毎日のように。

どんなことを?
って言われても…みんながどんな風にしてるか分からないので、あくまで私の話、ですけど…。

ただ…ひとつ思うのは、男の人ってどうしてこうも…競い合うのかなぁっていう風には思ってました。

そうなんです。なんでそこにこだわるんだろう?みたいな。

でもだんだん、私もそれが普通じゃないどころか、異常であることは何となく…え?気づくのが遅いって?すいません…。

いやいや、ありますよ。
逃げ出そうと思ったことなら数え切れないくらい。
実際に逃げ出したことは一度…だったかな。
でも失敗しちゃいました。

あの時は、とにかく毎日必死でしたね。
周りというより…自分の中での葛藤が。

なんか自分であって自分じゃないような感覚っていうか。
こんなのは私じゃない、って思い込むようにしてて。
でも、途中で気づいたんです。
やっぱり自分は自分でしかないんだなってことに。

時間は巻き戻せないから、もうどうやっても元の私に戻ることはできないんですよね。

パパとママが戻って来ないことと同じです。

その歳でたっかん…してる?
たっかん…達観?
難しい言葉ですね。
でも、そうなのかもしれないです。

少なくとも、それまでの私は何も知らなかったですから。
世の中のことも、他人の感情も。
悪い人なんてこの世に居ないと思ってましたし。
ニュースの中の出来事だ、ってどこかで思ってたんですよね。

人がどんなことで傷ついたり、傷つけたりするか、全く知らない世界で生きていました。

自分がそうなって、初めて分かったことばかりです。
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