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セイドレイ【完結】
第33章 モノローグ
だからどこかで、必死で人の良いところを探そうとしてたんです。
…変ですか?ですよね。

でもたとえば…お義父さんだったら、医師として尊敬できる部分はたくさんありましたし。
上のお義兄さんは、ずっとプレッシャーと戦って来たんじゃないでしょうか。
下のお義兄さんは…うーん、確かにわがままなところもたくさんあるけど、母親を失った悲しみは私も理解できますし。

みんなそれぞれ、自分ではどうしようもないことを抱えていて。

…そうですね。
だからと言って私にひどいことをしていい理由にはなりませんよね。
だけど私は、なぜかそこを考えてしまった。

私も多分、何も失っていなかったら、きっと何も考えずにあの家から逃げ出していたか、もしくは命を絶っていたかも…と思う時はあります。

単純に言うと、それより辛いことをすでに経験しちゃってたんですよね。
だから感覚が麻痺していたところはあるかもしれない。

ええ、パパとママのことです。
そうそう、後になって分かったことなんですが、パパと私は血が繋がってなかったみたいなんですよ。

そういうこととか…なんだろう、色々…本当に色々あって、気づいた時には私も慣れちゃったのもあるし…慣れというか、疲れちゃったっていうか。

今更もう、他の生き方ができないような気がしてしまって。

彼と…彼氏だった子と付き合っていた時に、特にそれを強く感じました。
彼を通して外の世界に少しだけ触れてみて、もう私は普通の女の子ではないんだなってことを思い知ったようなところはあります。

とにかく何もかも、もう手遅れだなと感じました。
幸せになっちゃいけないんじゃないかっていうか、私にとって幸せそのものがどういうことか分からなくなっちゃったんですよね。

私が自分の幸せを望めば、私の人生に誰かを巻き込んでしまうことになる。
事実、彼氏だった子…あ、元カレってこういう時に使えばいいんですね。そう、元カレを巻き込んでしまった。そのご両親にまで辛い思いをさせてしまいましたし。

それまで自分のことだけ考えて生きてましたが、自分が傷つくより、大事な人が傷つくことの方が何倍も、何百倍も辛いということその時に知りました。

だから私は、あの家で生きていこうと、ある時そう決めたんです。

正確に言うと、あの家で最後まで戦おう、そう決めました。
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