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セイドレイ【完結】
第35章 空蝉
時は平等に流れる。

新堂との決定的な確執が生まれてから、雅彦もこの約2ヶ月という時を過ごしてきた。

正確には、止まっていた、と言うべきか。

あれ以来、新堂は雅彦の元へ訪れることはおろか、電話すら寄越さなくなった。
用がないのだろう。
何せ、面と向かって『用無し』と言われたのだ。

雅彦が改心すればその限りでは無い、というような事を新堂は言い残して行ったが、それは詭弁だ。

次に会う時は仲間としてでは無く、新堂が雅彦を一方的に利用したい、その時だろう。

状況はどうであれ、亜美が新堂に囲われているのは決定的だと雅彦は思っていた。
であるならば、亜美が生きていることだけは保証されている。

というのも、その後も動画サイト『セイドレイ』には、『aminogosyujinsama_2』によって、続々と亜美の痴態を映した動画がアップされ続けていたのだ。

初回こそ無料でアップされていたものの、二本目の動画からは慎二がしていたのと同じように、有料コンテンツになっていた。

視聴者達は当初『aminogosyujinsama』の復活に沸いたものの、その動画の特徴であった慎二が被写体として映らなくなったことに疑問を抱く者も居た。

汚らしいキモデブ男に絶世の美少女が犯される、そんなコントラストの強い動画が一部のマニア達に絶大な支持を得ていたのだが、待てど暮らせど新しくアップされる動画には、そのキモデブ男が一切登場しなくなっていた。

いや、『aminogosyujinsama_2』がアップする動画にも、キモくてデブな男は映っている。同じ美少女が、毛深くメタボ体型の親父などに犯されるというコントラストが強い作風はそのままだ。しかも、内容は更に過激さを増している。
しかし『あのキモデブ男』…要するに慎二が登場しなくなったことで、視聴者達の中では様々な憶測が飛び交った。

素人の個撮に見せかけて、実は同人AVサークルの作品だったのでは無いか、というのが視聴者達の見解だった。
あの美少女は言わば素人に毛が生えたAV女優のようなもので、作品のシリーズが変わったから相手役の男も変わったのだろう、と。
そうなれば、あんな美少女がキモデブ男に犯されていたのも合点が行く、そう結論づけていた。
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